練習メニュー作成 フィニッシュ(個人戦術) キーファクター解説 フィニッシュ(個人戦術)

【保存版】サッカーのフィニッシュトレーニング(個人戦術):攻撃を強化する練習の鍵【28個の戦術キーファクターを全公開】

【保存版】サッカーのフィニッシュトレーニング(個人戦術):攻撃を強化する練習の鍵【27個の戦術キーファクターを全公開】

この記事でわかること

  • フィニッシュを改善したい場合、どんな要素をトレーニングすればよいのだろうか?
TETSUYA

この記事では上記の疑問のうち、個人戦術面の課題を解決していきます。

得点を増やしたい場合に真っ先に思い浮かぶのはドリブルやシュートといったボールコントロールの改善でしょう。

それらも当然重要ですが、「どうすればより良い形でシュートが打てるのか?」「パスを出す時・受ける時にはどんな工夫が必要なのか?」といった戦術面でも様々な技術を身に着ける必要があります。

そうと分かっていても、初心者コーチの方であれば「そのためにはどんな要素をトレーニングすればよいのだろうか?」と悩んでしまうこともあるでしょう。

そんな方のために、この記事では厳選した28個のキーファクター(=テーマとしたプレーを改善させるための要因)をすべてご紹介いたしますので、ぜひ今後の指導に役立ててください!

もくじ

 

「フィニッシュ(個人戦術)のキーファクター」のダウンロード(Excel・PDF)

フィニッシュ(個人戦術)のキーファクター

 

 

サッカーの練習における「キーファクター」とは?

「キーファクター」とは、「テーマとした課題を改善するために具体的に何ができるようになれば良いか」を示すものです。

 

例えば、練習のテーマを「ポゼッション」としたとしても、ボールコントロールがうまくいかずにパスがつながらないのと、ボールを受ける場所が良くないためにパスがつながらないのでは、必要なトレーニングは全く違ってきます。

 

この知識を前提として話を進めますので、もし「イマイチ理解できない」「この点についてもっと頭を整理してから読み進めたい」という方は以下の記事に目を通していただければと思います。

 

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「戦術キーファクター」と「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」の違い

キーファクターは、「戦術キーファクター」「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」の2種類に分けられ、この記事では「戦術キーファクター」についてご紹介します。

 

「戦術キーファクター」のトレーニングは基本的に相手がいる状態でおこなわれ、「今どのような状況にあるのか」「その状況下ではどのようなプレーを選択すべきなのか」ということを認知・判断できるようになることを目指します。

 

一方、「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」のトレーニングでは、狙い通りにボールや身体を操作できるようになることを目指します。

基本的にはそれぞれを分けてトレーニングすることはなく、戦術キーファクターを意識したトレーニングメニューをおこないつつ、ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクターについても同じトレーニングの中で改善させていくことが望ましいです。

その方が実際の試合でどのようなプレーが必要になるのかがより明確になるからです。

例えば「パスの質」というキーファクター1つをとっても、相手がいなければどんなゆっくりしたボールでも味方に届いてしまうので、改善の必要があるプレーであることに気づきにくいでしょう。
そこで「もっと速いボールを蹴ろう」と促しても、どのくらいのスピードが必要なのかをイメージさせるのは難しいのです。
ただし、チーム全体の技術面の能力が足りずトレーニングが成り立たない場合や、サッカー初心者で相手がいない状態でもボールコントロールがままならない場合などには、別個にボールフィーリング・クローズドスキルの向上に特化した時間を設けてあげるのもよいでしょう。

 

フィニッシュトレーニングの目的

このブログでは、フィニッシュというテーマのトレーニング目的を、

ゴールを奪う確率を上げるために、オンザボールの技術を上げることに加え、シュートを打てる状況・よりシュートが入りやすい状況に持っていくために必要なオフザボール時の動き方・考え方も習得すること

としています。

これは個人戦術・グループ戦術共通です。

 

また、すでにビルドアップを終えてミドルサードの深い位置~アタッキングサードにかけてのエリアに入っている状態を前提としています。

 

キーファクターの紹介

ここからキーファクターをご紹介していきます。

 

ここでのグループ分けは、類似したキーファクターや1つのトレーニングで一緒に出てきやすいものを同じグループにまとめてあります。
ただしそれはあくまで1つの案であり、他のキーファクターをトレーニングした際にも同様に一緒に出てくるものがあるので、グルーピングは指導対象のレベルや年齢などに合わせる形で適宜変更してかまいません。
場合によっては、「このキーファクターには上の学年になってから取り組もう」とした方がよいということもあるでしょう。

また、何個のキーファクターを1つのグループとして扱うのか、グループの数をいくつにするのかについても選手の習得の速さによって調整することが望ましいです。

 

どのキーファクターから習得させるかについてもご紹介した順番通りでなくて構いませんが、簡単なもの・理解しやすいものから始めて徐々に難易度を上げていくという点は変えるべきではありません。

 

グループ⓪

No.0:守備の三原則

「フィニッシュのトレーニングなのにディフェンスのキーファクター?」と思われた方もいらっしゃると思います。

たしかに「いかにゴールを奪うか」というテーマと相反するキーファクターに感じますが、まったくディフェンスができない相手からゴールを奪えたとしても意味がありません。

ここはディフェンスについてじっくりトレーニングするタイミングではありませんが、最低限の知識・能力は持ってもらいたいものです。

 

「守備の三原則」は以下の通りです。

①ボール(またはマークする相手)とゴールの中心を結んだ線上に立つ。
②ボールとマークする相手を同一視野に入れる。
③相手にプレッシャーをかけつつ突破されない距離をとる。

 

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グループ①

No.1:攻撃の優先順位

①ゴール(シュート)

②ラストパス

③ラストパスを出せる選手へのパス

④自分でチャンスを作るまたはチャンスを作れる選手へのパス

⑤作り直し

⑥ゴールキックになる・相手陣地深くで失う

の順に選択する。

カウンターにつながるボールの失い方は必ず避ける。
シュートが入りやすいエリア・入りづらいエリアを理解する。(「ビエルサライン」を知る)

 

No.2:プレーの優先順位

動く速さは

①ボール

②ボールを持っていない選手

③ボールを持っている選手

の順なので、速いものから優先的に選択する。

 

No.3:周りを観る

常に周囲の状況を把握し、適切なプレーを選択できるようにする。

 

No.4:味方・相手のいない場所でボールを持つ

味方とポジショニングが重ならないようにする。
フリーになれるスペースがどこにあるかを常に探す。

 

No.5:ボールを持つ前に次のプレーを考える

1つ1つのプレー・判断を早く・速く・正確に行う。
どこにボールを欲しいのかを言語・非言語で出し手に伝える。
思い通りのプレーができなかった時の選択肢を用意しておく。
背後の状況を正しく認知する(首を振る)。
プレーの直前でも判断を変えられるようにする。

 

No.6:体の向き・ポジショニング

前(相手ゴール方向)を向いてボールを受けられるようにする。
パスを受ける前にボール保持者とゴールを同一視野で見られるようにする。
シュートを打つ足の方のポスト(右足でシュートなら右ポスト、左足ならその逆)に向かってシュートが打てる体勢をとり、体の向きを変えずに左右に蹴り分けできるようにする。

 

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グループ②

No.7:ミドル・アタッキングサードの意識

ボールを失うリスクを冒してよい場所であることを認識する。
シュート・ラストパス・ドリブル突破をより強く意識してプレーする。

 

No.8:「突破のドリブル」を仕掛けるべき状況を認知・理解する

「目の前の相手を突破したら決定機・ビッグチャンス」の所で仕掛ける。

 

No.9:ボールに近づく・ボールから遠ざかる判断

パスの質や状況に応じた適切なボールの受け方を選択する。

 

No.10:より状況の良い選手を使う

フリーな選手・前を向いてボールを受けられる選手を使う。

 

No.11:パスを出す前に次のプレーを考える

受け手に何をさせたいのかを考えてパスを出す。
次にどんなプレーをしてもらいたいのかを言語・非言語で受け手に伝える。

 

グループ③

No.12:数的同数・優位を作る

ボール保持者を孤立させることなくサポートし、数的優位を作る。

それが難しければ少なくとも2vs2の状況を作り、ボール保持者にパスの選択肢も持たせる。

 

No.13:3人目の動き

自分以外の選手に向かってボールが動いている間に動き出す。
相手のバランスを崩すポジションを取る(ボールが来る確率は高くないが、来たらビッグチャンスになるポジションを取る)。

 

No.14:次のプレーを考えて関わり続ける

パスを出した後も関わり続ける。
自分の思うタイミングでパスが来なかった場合、ポジショニングを取り直す。
ボールが自分に来ない位置・状況にあっても無関係にならないようにする。
※直接ボールが来ない場所にいたり、動かず止まっていたりした方がよい状況もある。

 

No.15:リバウンドやこぼれ球に反応する

自分や味方がシュートを打った後のボールにも予測・反応する。

 

グループ④

No.16:動き出しのタイミング

ボール保持者が周りを観ることができ、かつ意図したところにボールを蹴ることができるタイミングで動く。

 

No.17:スルーパスの使い分け

ボール保持者に対する相手の立ち位置によって、縦・斜めのスルーパスを使い分ける。

 

No.18:ダイアゴナルラン

ゴールやチャンスにつながるパスを受けるためのバリエーションを増やす。
斜めに動くことで相手にマークの受け渡しを発生させる。
相手のマークを自分に引き付けることでボール保持者がドリブルするスペースを作る。

 

No.19:ラインブレイク

突破したいラインの裏や上で前向きにボールを受けられるポジショニングを意識する。
直線的な裏抜け・膨らんだ動きからの裏抜け・ダイアゴナルランを使い分ける。
※最終ラインを突破したいとき、体を前に倒すとオフサイドになりやすいので注意する。

 

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No.20:中間ポジションを取る(「位置的優位」を意識する)

相手ディフェンスを引き付ける・ギャップを突く。
横だけでなく縦(ライン間)の中間ポジションも意識する。

 

グループ⑤

No.21:ラストパスに対するポジショニング

ラストパスとシュート、2本の線によって生まれる角度が狭いほどシュートが打ちやすくなる。
※パスとシュートのボールの動きがそれぞれ異なることが前提。シュートを打ちたい方向に向かってパスが動いていればシュートは打ちづらくなる。

 

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No.22:相手の背中を取る

自分とボールが相手の同一視野に入らないようにすることでマークを外す。

 

No.23:スペースを作る・使う(個人)

ボールを受けたい場所から離れることでマークを引き付けてスペースを作り、本当に受けたいタイミングでそこに入る。
ボールを受けることだけを目的とするのでなく、相手選手を自分に引き付けたり、より相手ゴールに近づくパスが通せるようコースを開けたりする。

 

No.24:予測

ボール保持者の状況(プレッシャーの有無や視線、ボールの置き所、体の向きなど)から、プレーの選択・ボールの長さや強さ・方向を予測する。
ボール保持者が周りを観られる・自由にボールを蹴れる状況にある→受け手主導
ボール保持者が周りを観られない・自由にボールを蹴れる状況にない→出し手主導

 

グループ⑥

No.25:「質的優位」のポジションを意識する

ゴールを意識するとともに、誰に(どこに)ボールを入れたらチャンスになる可能性が高いかも頭に入れる。

 

No.26:即興的なプレー・相手が予測できないプレーをする

相手を欺くためのひらめき・アイディアを持つ。

 

No.27:切り替え(守→攻:ポジティブトランジション)

守備時にボールを奪った時のこと(自分がボールを奪った瞬間どこを攻めるか・味方がボールを奪った瞬間どこに動くか)を考えておく。

 

No.28:切り替え(攻→守:ネガティブトランジション)

攻撃時にボールを奪われた時のこと(自分がボールを奪われた瞬間どこを守るか・味方がボールを奪われた瞬間どこに動くか)を考えておく。

 

まとめ

この記事のまとめ

フィニッシュ(個人戦術)のキーファクター一覧:

グループ⓪

No.0:守備の三原則

グループ①

No.1:攻撃の優先順位

No.2:プレーの優先順位

No.3:周りを観る

No.4:味方・相手のいない場所でボールを持つ

No.5:ボールを持つ前に次のプレーを考える

No.6:体の向き・ポジショニング

グループ②

No.7:ミドル・アタッキングサードの意識

No.8:「突破のドリブル」を仕掛けるべき状況を認知・理解する

No.9:ボールに近づく・ボールから遠ざかる判断

No.10:より状況の良い選手を使う

No.11:パスを出す前に次のプレーを考える

グループ③

No.12:数的同数・優位を作る

No.13:3人目の動き

No.14:次のプレーを考えて関わり続ける

No.15:リバウンドやこぼれ球に反応する

グループ④

No.16:動き出しのタイミング

No.17:スルーパスの使い分け

No.18:ダイアゴナルラン

No.19:ラインブレイク

No.20:中間ポジションを取る(「位置的優位」を意識する)

グループ⑤

No.21:ラストパスに対するポジショニング

No.22:相手の背中を取る

No.23:スペースを作る・使う(個人)

No.24:予測

グループ⑥

No.25:「質的優位」のポジションを意識する

No.26:即興的なプレー・相手が予測できないプレーをする

No.27:切り替え(守→攻:ポジティブトランジション)

No.28:切り替え(攻→守:ネガティブトランジション)

 


最後までお読みいただきありがとうございます。

 

細かくボールをつなぐ・ロングボール主体など攻撃の仕方はチームによって異なりますが、どちらも「ゴールを奪う」という目的は同じです。

相手ゴール前は選手の個性が輝く場所ですが、個人のスキル・身体能力に任せるだけでなく誰もがシュート・ラストパスをできるチームになればより魅力的なサッカーが展開できるはずです。

携帯に便利なWord・PDFタイプのキーファクター一覧表もご用意しましたので、ぜひチーム作りに役立ててください!

 

「フィニッシュ(個人戦術)のキーファクター」のダウンロード(Excel・PDF)

フィニッシュ(個人戦術)のキーファクター

 

 

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