練習メニュー作成 ディフェンス(個人戦術)

【保存版】サッカーのディフェンストレーニング(個人戦術):守備を強化する練習の鍵【26個の戦術キーファクターを全公開】

この記事でわかること

  • ディフェンスを改善したい場合、どんな要素をトレーニングすればよいのだろうか?
TETSUYA

この記事では上記の疑問のうち、個人戦術面の課題を解決していきます。

守備に関しては個人の身体能力任せで、あとは「競れ!」「闘え!」と精神論に終始してしまうチームをよく目にします。

優れた身体能力は確かに守備に役立ちますが、良い守備をするためには他の要素も必要です。

身体能力は抜きんでていなくとも、それを補って余りある工夫のあるプレーで名ディフェンダーとよばれた選手も数多くいます。

そうと分かっていても、初心者コーチの方であれば「そのためにはどんな要素をトレーニングすればよいのだろうか?」と悩んでしまうこともあるでしょう。

そんな方のために、この記事では厳選した25個のキーファクター(=テーマとしたプレーを改善させるための要因)をすべてご紹介いたしますので、ぜひ今後の指導に役立ててください!

もくじ

 

「ディフェンス(個人戦術)のキーファクター」のダウンロード(Excel・PDF)

ディフェンス(個人戦術)のキーファクター

 

 

サッカーの練習における「キーファクター」とは?

「キーファクター」とは、「テーマとした課題を改善するために具体的に何ができるようになれば良いか」を示すものです。

 

例えば、練習のテーマを「ポゼッション」としたとしても、ボールコントロールがうまくいかずにパスがつながらないのと、ボールを受ける場所が良くないためにパスがつながらないのでは、必要なトレーニングは全く違ってきます。

 

この知識を前提として話を進めますので、もし「イマイチ理解できない」「この点についてもっと頭を整理してから読み進めたい」という方は以下の記事に目を通していただければと思います。

 

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「戦術キーファクター」と「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」の違い

キーファクターは、「戦術キーファクター」「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」の2種類に分けられ、この記事では「戦術キーファクター」についてご紹介します。

 

「戦術キーファクター」のトレーニングは基本的に相手がいる状態でおこなわれ、「今どのような状況にあるのか」「その状況下ではどのようなプレーを選択すべきなのか」ということを認知・判断できるようになることを目指します。

 

一方、「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」のトレーニングでは、狙い通りにボールや身体を操作できるようになることを目指します。

基本的にはそれぞれを分けてトレーニングすることはなく、戦術キーファクターを意識したトレーニングメニューをおこないつつ、ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクターについても同じトレーニングの中で改善させていくことが望ましいです。

その方が実際の試合でどのようなプレーが必要になるのかがより明確になるからです。

例えば「パスの質」というキーファクター1つをとっても、相手がいなければどんなゆっくりしたボールでも味方に届いてしまうので、改善の必要があるプレーであることに気づきにくいでしょう。
そこで「もっと速いボールを蹴ろう」と促しても、どのくらいのスピードが必要なのかをイメージさせるのは難しいのです。
ただし、チーム全体の技術面の能力が足りずトレーニングが成り立たない場合や、サッカー初心者で相手がいない状態でもボールコントロールがままならない場合などには、別個にボールフィーリング・クローズドスキルの向上に特化した時間を設けてあげるのもよいでしょう。

 

ディフェンストレーニングの目的

このブログでは、ディフェンスというテーマのトレーニング目的を、

「ゴールを奪うために相手からボールを奪う」という意識を常に持ちながら、プレーエリアや状況に応じて適切なプレーを選択し、「ゴールを守る」という最も重要な守備時の目的を達成できるようにすること

としています。

これは個人戦術・グループ戦術共通です。

 

また、このブログではディフェンストレーニングを「個人戦術」と「グループ戦術」に分けていますが、そうでなく「プレッシング」と「ブロックを強いた守備」に分けるなどしても整理しやすいと思います。

 

キーファクターの紹介

ここからキーファクターをご紹介していきます。

 

ここでのグループ分けは、類似したキーファクターや1つのトレーニングで一緒に出てきやすいものを同じグループにまとめてあります。
ただしそれはあくまで1つの案であり、他のキーファクターをトレーニングした際にも同様に一緒に出てくるものがあるので、グルーピングは指導対象のレベルや年齢などに合わせる形で適宜変更してかまいません。
場合によっては、「このキーファクターには上の学年になってから取り組もう」とした方がよいということもあるでしょう。

また、何個のキーファクターを1つのグループとして扱うのか、グループの数をいくつにするのかについても選手の習得の速さによって調整することが望ましいです。

 

どのキーファクターから習得させるかについてもご紹介した順番通りでなくて構いませんが、簡単なもの・理解しやすいものから始めて徐々に難易度を上げていくという点は変えるべきではありません。

 

グループ①

No.1:守備の三原則

①ボールとゴールの中心(またはマークする相手)を結んだ線上に立つ。
②ボールとマークする相手を同一視野に入れる。
③相手にプレッシャーをかけつつ突破されない距離をとる。

 

グループ②

No.2:守備の優先順位

①ボールを奪う(パスカット・直接奪う)

②相手のプレーを制限し、蹴らせてボールを奪う

③フィニッシュやビルドアップを妨害する(ボールを下げさせる・攻撃を遅らせる・狭いサイドやエリアでプレーさせる)

④ラストパス・シュートをブロックする。

★最も避けたいことは失点をすること。
★攻撃をするため・失点の確率を下げるために相手からボールを奪う意識を持つ。

 

No.3:周りを観る

自分がマークする相手だけを見るのでなく、より危険な場所がないか常に周囲の状況を確認するようにする。

 

No.4:プレーエリアによって意識を変える

積極的に奪いに行くのか・抜かれないことを第一に考えるのか・ファールをしてもピンチにならないかなどをプレーエリアや状況によって使い分ける。

 

No.5:コミュニケーション(声掛け・ボディーランゲージ)

自分がプレッシャーをかけに行く・味方のポジションを修正するなどの際に、味方と言語・非言語でコミュニケーションをとる。

 

グループ③

No.6:上半身の前面を相手に向けて対応する

ボールを持った相手選手の動きやステップ、フェイントを観てついていく。
★自分に近いスピードの相手や、比較的短い距離の移動についていくときに使う。

 

No.7:背中を相手に向けて対応する

相手が直線的にゴールに向かえないようにしながら、自分より後方のDF・GKと合流し数的優位を作る。
★自分よりスピードのある相手や、比較的長い距離の移動についていくときに使う。

 

No.8:縦・横それぞれに動きやすい足の並べ方

状況に応じて足の並べ方を変える。

 

No.9:相手をゴールから遠ざける

相手を角度がない場所・苦手な足でプレーさせる状況に追いやり、ゴールに向かってプレーさせない。
★シュートが入りやすいエリア・入りづらいエリアを理解する。(「ビエルサライン」を知る)

 

No.10:相手の利き足を切る

得意な方の足で自由にプレーさせない。

 

グループ④

No.11:ボールを奪うチャンスを逃さない

抜かれないだけでなく、常にボールを奪う意識を忘れない。
★「チャンスが来た時に奪いに行く」のでなく、「常に奪いに行く準備をしつつ、チャンスがないときは我慢する」という意識を持つ。

 

No.12:ボールを奪うチャンスが来るまで適切な距離を保つ

ボールを奪うチャンスを伺いながら、相手が動いた分こちらも動いて対応する。
相手に寄せた時に止まる(次の動きについていきやすい体勢を取って止まる)。

 

No.13:相手とボールの間に入る

相手とボールの間に入って奪う。

奪いに行く足に体重を乗せる。

相手に近い方の足で奪いに行く。

 

No.14:守備のフェイント

わざと足を出して相手にアクションを起こさせる。
パスコースを空けておいてパスカットを狙う。

 

グループ⑤

No.15:ボールを奪うタイミング

①パスカット

②ファーストタッチ

③前を向く瞬間

④ドリブル中(奪えなければゴールから遠ざける)

 

No.16:マークする相手との距離

ボールやゴールとの距離によってマークする相手との距離を変える。

 

No.17:予測

ボール保持者の状況(プレッシャーの有無や視線、ボールの置き所、体の向きなど)から、プレーの選択・ボールの長さや強さ・方向を予測する。
ボール保持者が周りを観られる・自由にボールを蹴れる状況にある→制限をかけるところから始める
ボール保持者が周りを観られない・自由にボールを蹴れる状況にない→奪いに行く

 

No.18:ボールを奪った向きのままプレーを継続する

ボールを奪った瞬間にターンして奪い返されたりすることなく、その時の体の向きのままプレーを継続する。

 

グループ⑥

No.19:数的不利での守り方

1対1の状況を作る。
ゴールから遠ざける。
攻撃を遅らせて味方が戻る時間を作る。

 

No.20:ディレイ(数的同位・優位になるまで相手を遅らせる)

数的不利な状況では安易にボールを取りにいかず、直線的にゴールに向かわせずに味方が戻る時間を稼ぐ。

 

No.21:プレスバック

後方の選手が攻撃を遅らせている間に戻り、前後で挟んでボールを奪う。
※プレスバックに戻る際、直前にマークしていた相手にボールが出てピンチにならないよう注意する。

 

No.22:ワンツーへの対応

1本目のパスが出たとき、ボールを追うのでなく1本目のパスを出した選手に付いていく。

 

No.23:カバーシャドウ

守備の優先順位を常に頭に入れる。

危険なパスやシュートコースを切ってから(切りながら)プレスをかけられるようにする。

※シュートブロックの時などのように、可能な限り早くボール保持者にプレッシャーをかけることが必要な時もある。

 

グループ⑦

No.24:リバウンドやこぼれ球に反応する

常に集中して傍観者にならないようにする。

 

No.25:切り替え(守→攻:ポジティブトランジション)

守備時にボールを奪った時のこと(自分がボールを奪った瞬間どこを攻めるか・味方がボールを奪った瞬間どこに動くか・速攻か遅攻かクリアか)を考えておく。

 

No.26:切り替え(攻→守:ネガティブトランジション)

攻撃時にボールを奪われた時のこと(自分がボールを奪われた瞬間どこを守るか・味方がボールを奪われた瞬間どこに動くか)を考えておく。

 

まとめ

この記事のまとめ

ディフェンス(個人戦術)のキーファクター一覧:

グループ①

No.1:守備の三原則

グループ②

No.2:守備の優先順位

No.3:周りを観る

No.4:プレーエリアによって意識を変える

No.5:コミュニケーション(声掛け・ボディーランゲージ)

グループ③

No.6:上半身の前面を相手に向けて対応する

No.7:背中を相手に向けて対応する

No.8:縦・横それぞれに動きやすい足の並べ方

No.9:相手をゴールから遠ざける

No.10:相手の利き足を切る

グループ④

No.11:ボールを奪うチャンスを逃さない

No.12:ボールを奪うチャンスが来るまで適切な距離を保つ

No.13:相手とボールの間に入る

No.14:守備のフェイント

グループ⑤

No.15:ボールを奪うタイミング

No.16:マークする相手との距離

No.17:予測

No.18:ボールを奪った向きのままプレーを継続する

グループ⑥

No.19:数的不利での守り方

No.20:ディレイ(数的同位・優位になるまで相手を遅らせる)

No.21:プレスバック

No.22:ワンツーへの対応

No.23:カバーシャドウ

グループ⑦

No.24:リバウンドやこぼれ球に反応する

No.25:切り替え(守→攻:ポジティブトランジション)

No.26:切り替え(攻→守:ネガティブトランジション)

 


最後までお読みいただきありがとうございます。

 

攻撃に比べ守備の練習は面白みに欠けると感じる選手もいることでしょう。

しかし、守備を向上させて相手のボールを奪う機会を増やすことができれば、同時に攻撃の機会も増やすことができます。

また、「今日1日でリフティングの最高記録を倍にしよう!」といっても難しいですが、守備はちょっとしたコツを知るだけで即座に改善できることも多々あります。

選手に守備の楽しさを伝えてあげることで、サッカーをより楽しめるようにしてあげてほしいと思います。

 

携帯に便利なWord・PDFタイプのキーファクター一覧表もご用意しましたので、ぜひチーム作りに役立ててください!

 

「ディフェンス(個人戦術)のキーファクター」のダウンロード(Excel・PDF)

ディフェンス(個人戦術)のキーファクター

 

 

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