この記事でわかること
- フィニッシュを改善したい場合、どんな要素をトレーニングすればよいのだろうか?
この記事では上記の疑問のうち、グループ戦術面の課題を解決していきます。
相手ゴール前まで攻め込むことができても、「結局最後は個の力」と思われている指導者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
個人でチャンスを生み出す能力、ゴールを奪いきる能力は伸ばしていきたいですが、複数人が関わった時に単なる足し算で終わったりお互いにプレーしづらくなったりすることなく相乗効果を生み出せるようトレーニングすることはとても重要です。
そうと分かっていても、初心者コーチの方であれば「そのためにはどんな要素をトレーニングすればよいのだろうか?」と悩んでしまうこともあるでしょう。
そんな方のために、この記事では厳選した9+28個のキーファクター(=テーマとしたプレーを改善させるための要因)をすべてご紹介いたしますので、ぜひ今後の指導に役立ててください!
もくじ
- 「フィニッシュ(グループ戦術)のキーファクター」のダウンロード(Excel・PDF)
- サッカーの練習における「キーファクター」とは?
- 「戦術キーファクター」と「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」の違い
- フィニッシュトレーニングの目的
- キーファクターの紹介
- まとめ
- 「フィニッシュ(グループ戦術)のキーファクター」のダウンロード(Excel・PDF)
- 【保存版】サッカーのポゼッショントレーニング:攻撃を強化する練習の鍵【24個の戦術キーファクターを全公開】
- 【保存版】サッカーのビルドアップトレーニング:攻撃を強化する練習の鍵【10+24個の戦術キーファクターを全公開】
- 【保存版】サッカーのフィニッシュトレーニング(個人戦術):攻撃を強化する練習の鍵【28個の戦術キーファクターを全公開】
- 【保存版】サッカーのディフェンストレーニング(個人戦術):守備を強化する練習の鍵【26個の戦術キーファクターを全公開】
- 【保存版】サッカーのディフェンストレーニング(グループ戦術):守備を強化する練習の鍵【10+26個の戦術キーファクターを全公開】
- 【保存版】サッカーのボールフィーリング・クローズドスキルトレーニング:攻撃を強化する練習の鍵【33個のキーファクターを全公開】
「フィニッシュ(グループ戦術)のキーファクター」のダウンロード(Excel・PDF)
サッカーの練習における「キーファクター」とは?
「キーファクター」とは、「テーマとした課題を改善するために具体的に何ができるようになれば良いか」を示すものです。
例えば、練習のテーマを「ポゼッション」としたとしても、ボールコントロールがうまくいかずにパスがつながらないのと、ボールを受ける場所が良くないためにパスがつながらないのでは、必要なトレーニングは全く違ってきます。
この知識を前提として話を進めますので、もし「イマイチ理解できない」「この点についてもっと頭を整理してから読み進めたい」という方は以下の記事に目を通していただければと思います。
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「戦術キーファクター」と「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」の違い
キーファクターは、「戦術キーファクター」と「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」の2種類に分けられ、この記事では「戦術キーファクター」についてご紹介します。
「戦術キーファクター」のトレーニングは基本的に相手がいる状態でおこなわれ、「今どのような状況にあるのか」「その状況下ではどのようなプレーを選択すべきなのか」ということを認知・判断できるようになることを目指します。
一方、「ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクター」のトレーニングでは、狙い通りにボールや身体を操作できるようになることを目指します。
基本的にはそれぞれを分けてトレーニングすることはなく、戦術キーファクターを意識したトレーニングメニューをおこないつつ、ボールフィーリング・クローズドスキルのキーファクターについても同じトレーニングの中で改善させていくことが望ましいです。
その方が実際の試合でどのようなプレーが必要になるのかがより明確になるからです。
例えば「パスの質」というキーファクター1つをとっても、相手がいなければどんなゆっくりしたボールでも味方に届いてしまうので、改善の必要があるプレーであることに気づきにくいでしょう。
そこで「もっと速いボールを蹴ろう」と促しても、どのくらいのスピードが必要なのかをイメージさせるのは難しいのです。
ただし、チーム全体の技術面の能力が足りずトレーニングが成り立たない場合や、サッカー初心者で相手がいない状態でもボールコントロールがままならない場合などには、別個にボールフィーリング・クローズドスキルの向上に特化した時間を設けてあげるのもよいでしょう。
フィニッシュトレーニングの目的
このブログでは、フィニッシュというテーマのトレーニング目的を、
「ゴールを奪う確率を上げるために、オンザボールの技術を上げることに加え、シュートを打てる状況・よりシュートが入りやすい状況に持っていくために必要なオフザボール時の動き方・考え方も習得すること」
としています。
これは個人戦術・グループ戦術共通です。
また、すでにビルドアップを終えてミドルサードの深い位置~アタッキングサードにかけてのエリアに入っている状態を前提としています。
キーファクターの紹介
ここからキーファクターをご紹介していきます。
ここでのグループ分けは、類似したキーファクターや1つのトレーニングで一緒に出てきやすいものを同じグループにまとめてあります。
ただしそれはあくまで1つの案であり、他のキーファクターをトレーニングした際にも同様に一緒に出てくるものがあるので、グルーピングは指導対象のレベルや年齢などに合わせる形で適宜変更してかまいません。
場合によっては、「このキーファクターには上の学年になってから取り組もう」とした方がよいということもあるでしょう。
また、何個のキーファクターを1つのグループとして扱うのか、グループの数をいくつにするのかについても選手の習得の速さによって調整することが望ましいです。
どのキーファクターから習得させるかについてもご紹介した順番通りでなくて構いませんが、簡単なもの・理解しやすいものから始めて徐々に難易度を上げていくという点は変えるべきではありません。
グループ⓪
No.01:「フィニッシュ(個人戦術)」のキーファクターを習得しておく
「フィニッシュ(個人戦術)」のキーファクターはすべて「フィニッシュ(グループ戦術)」でも必要となります。
この記事のタイトルを「9+28個の戦術キーファクター」としているのは、10個のグループ戦術キーファクターに加え、28個の個人戦術キーファクターが必要になるためです。
「フィニッシュ(個人戦術)」のキーファクターは以下の記事にてご紹介しておりますので、ぜひご一読ください。
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【保存版】サッカーのフィニッシュトレーニング(個人戦術):攻撃を強化する練習の鍵【28個の戦術キーファクターを全公開】
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No.02:守備の三原則
「フィニッシュのトレーニングなのにディフェンスのキーファクター?」と思われた方もいらっしゃると思います。
たしかに「いかにゴールを奪うか」というテーマと相反するキーファクターに感じますが、まったくディフェンスができない相手からゴールを奪えたとしても意味がありません。
ここはディフェンスについてじっくりトレーニングするタイミングではありませんが、最低限の知識・能力は持ってもらいたいものです。
「守備の三原則」は以下の通りです。
①ボールとゴールの中心(またはマークする相手)を結んだ線上に立つ。
②ボールとマークする相手を同一視野に入れる。
③相手にプレッシャーをかけつつ突破されない距離をとる。
グループ①
No.1:数的優位・同位・不利の攻撃
数的優位の場合:スペースではなくゴールまたは相手に向かって仕掛けることで相手を自分に引き付けて味方をフリーにする。そこにパスを出して突破したり、味方にパスを出すと見せかけておとりに使って突破したりする。
サポートはパスを受けて真っすぐゴールに向かえる位置をとる。
数的同位の場合:1対1を仕掛けて突破する・ワンツーやスルーパスを狙う・オーバーラップを使う・自分以外の選手をマークしている相手に向かって仕掛けることでマークの受け渡しを発生させる。
数的不利の場合:「数的同位」の方法に加え、キープして味方のサポートを待つことも考える。
No.2:数的同数・優位を作る
ボール保持者を孤立させることなくサポートし、数的優位を作る(特にサイドでは数的優位を作ってフリーでクロスを上げられるようにする)。
それが難しければ少なくとも2vs2の状況を作り、ボール保持者にパスの選択肢も持たせる。
No.3:ボール保持者の前後や左右にパスコースを作る
ボール保持者に前後(前進や裏抜け・戻してシュートや攻撃のやり直しなど)や左右のパスコースを作り、相手に狙いを絞らせないようにする。
No.4:ワンツー・スルーパスの使い分け
相手の並び方によって使い分ける。
ワンツー:チャレンジ&カバーなど相手が前後に段差を作っている時に使う。
スルーパス:相手が横並びになっている時に使う。
No.5:スペースを作る・使う(グループ)
ボールを受けたい場所から離れることでマークを引き付けてスペースを作り、本当に受けたいタイミングでそこに入る。
ボールを受けることだけを目的とするのでなく、相手選手を自分に引き付けたり、より相手ゴールに近づくパスが通せるようコースを開けたりする。
グループ②
No.6:クロスに対するポジショニング
ニアサイドとファーサイドに段差を作る。
ゴール前に入るタイミングをずらすことでクロスの狙いどころを増やし、マークをしづらくする。
ボールに近いサイドの選手が自由に動き、遠いサイドの選手が空いているスペースに入る。
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No.7:中盤・後方から前線への攻撃参加
正確に状況を把握し、ポジションにとらわれない攻撃参加(追い越し・オーバーラップ・インナーラップ)ができるようにする。
No.8:緩急をつける(スイッチを入れる)
選手やボールの動く速さを常に一定にするのでなく、前の選手にボールを入れる際やサイドチェンジをする際にパススピードを上げたり、中盤の選手がフリーで前を向けた時にスプリントをかけてボール保持者を追い越すなど、攻撃のスピードに変化をつける。
確実にボールを保持したい場合はボール保持者のスピードを意識的に落とす。
グループ③
No.9:セットプレー
これをキーファクターと呼ぶのは少し違う気がするのですが、以下のセットプレーはこれまでに習得してきたポゼッションやビルドアップのキーファクターを活用することで改善できる部分がとても大きいため、復習や確認の意味でも取り組む価値があります。
①コーナーキック
②フリーキック(近距離)
③フリーキック(エリア内間接)
④クイックリスタート
⑤PK
まとめ
この記事のまとめ
フィニッシュ(グループ戦術)のキーファクター一覧:
グループ⓪
No.01:「フィニッシュ(個人戦術)」のキーファクターを習得しておく
No.02:守備の三原則
グループ①
No.1:数的優位・同位・不利の攻撃
No.2:数的同数・優位を作る
No.3:ボール保持者の前後や左右にパスコースを作る
No.4:ワンツー・スルーパスの使い分け
No.5:スペースを作る・使う(グループ)
グループ②
No.6:クロスに対するポジショニング
No.7:中盤・後方から前線への攻撃参加
No.8:緩急をつける(スイッチを入れる)
グループ③
No.9::セットプレー
最後までお読みいただきありがとうございます。
「どんな形であろうとゴールはゴール」と言われれば、それは確かにそうでしょう。
しかし、どんな相手からもコンスタントに得点を奪えるチーム・相手の対策を常に上回る攻撃ができるチームを目指すのであれば、個人のスキルや身体能力、運に任せるだけでは限界があります。
携帯に便利なWord・PDFタイプのキーファクター一覧表もご用意しましたので、ぜひチーム作りに役立ててください!
「フィニッシュ(グループ戦術)のキーファクター」のダウンロード(Excel・PDF)
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