コラム

判断力を上げる!サッカーにおける「認知」の要素を取り入れたトレーニングの重要性

この記事でわかること

  • サッカー選手が1つのプレーをするための「3つのプロセス」
  • サッカーにおける「認知」の重要性
  • 状況を正しく「認知」する能力を上げるためのトレーニング方法
TETSUYA

この記事では上記の疑問を解決していきます。

 

より良いサッカー選手になるためには、ボールコントロールやフィジカルを向上させるだけでは足りません

 

それに加え、身に着けた技術や体力を適切に発揮するための「判断力」や「認知」の能力を上げることが必要となります。

 

私は指導を始めたときから認知や判断の要素を練習に取り入れてきましたが、その部分の重要性を理解することなく選手を成長させることは不可能だと感じています。

 

初心者コーチの方にもわかりやすい内容となっておりますので、ぜひ普段の練習に取り入れてください。

 

サッカー選手が1つのプレーをするための「3つのプロセス」

サッカーのプレーは、本人が意識している・していないにかかわらず、「認知」→「判断」→「実行」という3段階のプロセスを経ておこなわれます。

 

まずそれぞれのプロセスについて確認しておきますと、以下のようになります。

 

step
1
認知

自分・味方・相手の位置や体の向きなど、ピッチ上で何が起こっているかを把握すること

 

step
2
判断

「認知」をおこなったのち、「シュートする・パスする・相手にプレスをかける・下がってゴール前を固める」など、プレーを選択すること

 

step
3
実行

「判断」にて選択したプレーをおこなう(おこなおうとする)こと

 

「ウチの子はそんな難しいことを考えていない。どんな状況でも来たボールを思い切りシュートするだけだから認知なんかしていない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、シュートをしようとするということは相手ゴールの方向を認知しているということです。

 

また、思い切りシュートしようとするということは、相手ゴールとの距離についても認知していることを意味しています

 

このような選手をレベルアップさせていくために指導者はどのようなトレーニングをするべきなのでしょうか?

 

サッカーにおける「認知」の重要性

選手のプレーがうまくいかない場合、ボールコントロールの改善を図るトレーニングによって問題を解決しようとする指導者も少なくありません。

 

原因がボールをコントロールする技術の不足であった場合、その対応に問題はありません。

 

しかし、サッカーには見過ごすことのできない1つのデータがあります。

 

それは、

 

「試合中のすべてのミスのうち、約70%は認知・判断の段階で起こっている」

 

ということです。

 

必ずしも「シュートが枠に飛ばなかった」「ドリブルして相手にボールを取られた」→「じゃあシュート(ドリブル)の練習だ!」ではなく「シュート(ドリブル)をするのに適した状況であったのか?」というところに目を向ける必要があるのです。

 

サッカーには大きく分けて「クローズドスキル」「オープンスキル」という2つのスキル(技術)があり、それぞれの練習方法や目的は異なります。

 

クローズドスキルの練習:相手やプレー状況は設定せず、選手が思い通りにボールや体をコントロールできるようになるための能力を向上させることを目指す

オープンスキルの練習:相手やプレー状況を設定し、選手が状況に適したプレーを実行できるようになるための能力を向上させることを目指す

 

スキャモンの発育曲線を参考に、低年齢になるほどクローズドスキルの練習に時間が割かれることが多いと思います。

 

それをすべて否定するつもりはありませんが、悪い習慣を身に着けてしまう危険性についても認識しておく必要があります

 

例えば、対面パスを徹底的におこなってきた結果、自分にパスを出した選手に身体を向けてパスを受ける癖がいつまでも抜けないという選手をたくさん見てきました。

 

その習慣を指導者が矯正するのはとても大変です。

 

また、小学生年代まではボールコントロールだけ徹底的に練習すれば「とりあえず足元にボールを受けてドリブルで何人も抜いていく」といったプレーも可能なため、そこで成功体験を積み重ねていく選手も数多く存在します。

 

年齢が上がってそうしたプレーが難しくなった時、「必要なのはどこでどう受けるかというボールの受け方の練習」と伝えても、それまでの成功体験が忘れられず、オフ・ザ・ボールの重要性を認識できていない様子の選手も多く見受けられます。

 

「ボールコントロールの技術に比べて認知・判断のレベルを上げるのは比較的容易」と思われている節もありますがそれは大きな誤解であり、上記の理由からそれは指導者にとってとても難しい作業です。

 

選手の年齢が低いうちから練習に認知の要素を取り入れ、「認知・判断・実行」の3要素をバランスよくトレーニングしましょう

 

「認知のトレーニング」といっても難しく考える必要はありません。

 

あるポイントを押さえるだけで、普段の練習に認知の要素を取り入れることができるようになります。

 

状況を正しく「認知」する能力を上げるためのトレーニング方法

「認知・判断・実行」の3要素の中の「実行」の要素しかトレーニングしていないという初心者コーチの方であっても、普段の練習に少し工夫を加えるだけでより実践的なトレーニングに変えることができます

 

例えば、向かい合ってオートマティックにパス交換をさせていたのを、ビブスによってチーム分けして「自分と同じ色の選手にはパスでボールを渡す」「自分と違う色の選手にはドリブルでボールを渡す」とするだけでも「認知」の要素を加えることができます。

 

ただマーカーを置いてジグザグにドリブルするよりも、数種類の色のマーカーをランダムに配置して「同じ色のマーカーを順番にたどる」「決められた順番に3色のマーカーをたどっていく」とする方が、より試合で必要な要素をトレーニングすることができます。

 

ちょっとしたルールを普段の練習に加えただけですが、このような工夫を練習に加えるか否かが、試合で活躍できる選手になれるか否かを左右するのです。

 

ポゼッションを例にとっても、技術がそこまで高くなくても過度に気にすることなくポジショニングをテーマにしたトレーニングをおこなえば、次第にチームやグループとしてパスが回るようになります。

 

ポジショニングが良くなればパスの回数も増えていくので、時間を割いてわざわざ対面パスをおこなわなくても十分なプレー機会と反復回数が得られます。

 

パスの本数は対面パスに劣りますが、より実践に近い状況での1本のパスは対面パスを何本やっても得られない効果を生み出します。

 

ボールを蹴る・受けるが全くできないレベルであればクローズドスキルに取り組む時間をいくらか割いてあげた方がその選手のためになるでしょう。

 

しかしそれが完璧にならないと相手を付けた練習をさせないということにせず、オープンスキルのトレーニングに積極的に参加させるようにしましょう。

 

試合ではどのようなプレーが必要となるかが実感でき、より成長を早めることが期待できます。

 

何かが完璧にならないと次に進まないというのはかえって成長を妨げてしまいます

 

まとめ

この記事のまとめ

  • サッカー選手は1つのプレーをするために「認知」「判断」「実行」という「3つのプロセス」を経ている
  • 試合中のミスの約70%は認知・判断の段階で起こっているため、サッカーにおいて「認知」は大変重要である
  • ルールや状況を設定したトレーニングをおこなうことで、状況を正しく「認知」する能力を上げることができる

 


最後までお読みいただきありがとうございます。

 

メッシを世界最高たらしめているものは、ボールコントロールとともに備わっている並外れた認知力です

 

 

2人・3人とかわしていくドリブルはもちろん相手にとって脅威ですが、

 

「自分より状況の良い味方がいれば見逃すことなくそこにパスを出せる」

 

「少しでも相手のプレッシャーが緩ければ遠目からでもシュートを決められる」

 

というプレーを状況に応じて適切に使い分けられることが本当の脅威です。

 

これがいつでもどこでもドリブルだけ仕掛ける選手であれば相手も対策を立てやすく、メッシの技術をもってしても頂点に上り詰めることは不可能でしょう。

 

 

「低年齢の時だけ結果を出せればよい」というのであれば、ボールコントロールやフィジカルトレーニングを徹底的におこなったほうがよいかもしれません。

 

小学生年代であれば、ボールコントロール・フィジカル(足の速さ・体の強さ)・状況判断の3要素がそれぞれ90点・90点・20点の合計200点のチームは、70点・70点・70点の合計210点のチームに勝ててしまうと思います。

 

しかし育成年代の指導者には、選手の将来を常に見据えて指導する責任があります

 

既に述べた通り、ボールコントロールと認知の能力を同時に伸ばすことは優れたサッカー選手となるために必要不可欠あり、かつ可能なことです。

 

 

ぜひこれまでの練習にひと工夫を加えて、より良い選手を育成してください!

 

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