ビルドアップ コラム

【ゴールキックも劇的改善】偽サイドバックより簡単な3バック↔4バックの可変システムによるビルドアップの方法【8人制サッカーでも使える】

【ゴールキックも劇的改善】偽サイドバックより簡単な3バック↔4バックの可変システムによるビルドアップの方法【8人制サッカーでも使える】

この記事でわかること

  • ディフェンディングサードからのビルドアップを成功させる2つのポイント
  • 「偽サイドバック」の難点とその解決方法
  • ゴールキックに関する注意ポイント4選
TETSUYA

この記事では上記について解説していきます。

 

小学校低学年の指導をしていると、「相手のコーナーキックよりも自分たちのゴールキックの方が失点しやすい」ということもよくあります。

ゴールキックが飛ばないため味方ゴールに近い場所かつ正面で相手ボールになってしまい、そのままゴールを決められてしまうという流れです。

 

「キックの飛距離が上がれば解決するんだろうけどすぐには飛ぶようにはならないし、いったいどうしたらいいんだろう・・・」

多くの指導者が頭を悩ませています。

 

でも安心してください。

 

私が指導している中学生チームもキックのあまり飛ばない子ばかりなのですが、ある方法によってビルドアップを劇的に改善させることができました。

 

この記事を読んで、深い位置からのビルドアップに困らない選手・チームに変えていきましょう!

もくじ

 

最もつまづきやすい場所:「ディフェンディングサード」を越えるために

ビルドアップについて考察していくと様々な原因や解決方法がありますが、今回は「ディフェンディングサードを越えること」に力を入れてお伝えしていきます。

なぜなら、ディフェンディングサードこそが「最もつまづきやすい場所」「最もミスが失点につながりやすい場所」であるからです。

 

※「ディフェンディングサード」とは、サッカーコートを味方ゴール前・中盤・相手ゴール前と3分割したうちの味方ゴール前のエリアを指します。

 

注意

・ここから先、図によって問題点や解決案を提示するシーンが数多く登場します。

それを見て、「左右のセンターバックや両サイドバックはライン際でなくもっと中央に寄った方がよい」などポジショニングに関するご意見はあるかと思いますが、ここではそうしたことよりもビルドアップの理論の方に意識を向けていただければと思います。

 

ディフェンディングサードからのビルドアップを成功させる2つのポイント

ポイント1:相手のトップに対し数的優位を作る

数的優位の作り方は相手が1トップ(3トップ)なのか2トップなのかによって変わりますので、まずはそこに目を向けるところから始めましょう。

 

対1トップ(3トップ)の場合

改善が必要な例:

相手のトップに対して同数の状況になってしまっています。

良い例:

相手のトップに対して数的優位の状況を作ることができています。

 

対2トップの場合

改善が必要な例:

どちらかのサイドへボールを出す以外にパスコースがなく、守備側からするとプレッシャーをかけやすく狭いエリアに追い込みやすい状況になってしまっています。

 

良い例:

サイドだけでなく中央へのパスコースも用意することで、守備側の狙いを定めづらくさせています。

 

数的優位を作る際の2つの注意点

注意点1:「相手+1」の人数を意識する

「数的優位を作る」といっても、相手より多ければよいというわけではなく、「相手+1」の人数を作ることを意識しましょう。

味方ゴール近くではリスク管理として「相手+2」の人数を作るのも時には必要になるかもしれませんが、目の前の相手を突破するために人数をかけすぎると、突破した先で数的優位を作ることができず、ボールを前進させ続けることが難しくなってしまいます。

その他にも、味方同士でお互いのプレースペースを消しあってしまったり、誰にパスを出すのが良いのかという無駄な認知が必要になってしまったりするデメリットもあります。

(「AとBのどちらにパスを出したらいいですか?」という判断をするのと「A・B・C・D・Eの中から最も良いパスコースを選んでください」という判断をするのでは、どちらが素早くおこなえるのかは明らかです)

 

また、局面だけでなく少し広げた状況でも「相手+1」を作れていることが望ましいです。

目の前で2対1の状況を作って終わりとするのでなく、より広くグラウンドを見て、「相手3トップに対して4バックで対応できている」「自陣にいる相手は5人だが、こちらは6人用意できている」などといったところまで認知することができると、もう1つ上のレベルに行くことができるでしょう。

 

注意点2:プレーの状況やエリアによってゴールキーパーを人数に含めるかどうかを変える

ゴールキックやオフサイドからのリスタートではドリブルができないため、現実的に選択できるプレーはパスに限られます。

一方、インプレー中(プレーが流れている状況)では当然ながらその制限はないため、バックパスを受けたゴールキーパーがドリブルで少し前に出てからディフェンスの間にパスを出すそぶりを見せてその間を閉めさせ、よりスペースのできたサイドバックにパスを通すといったプレーも可能になります。

つまり、GKをビルドアップの人数に含めることができるようになるということです。

このことからもわかる通り、インプレー中では2トップの相手に対しても2センターバックの間にボールを受ける選手が下りてくる必要がないこともあるのです。

 

ただし、相手を押し込めるチームの場合はビルドアップのスタートがハーフウェーライン近くまで上がることもあるため、そうしたエリアでのプレーをGKに任せてしまうと万が一ボールを失った時のリスクが大きいため、リスク管理としてフィールドプレーヤーに2センターバックの間でプレーしてもらうことを選択するのも一つです。

 

GKの技術にも左右される部分がありますが、このような使い分けの仕方を知っておくと便利です。

 

ポイント2:数的優位を作るためのシステムの可変方法を知る

「システムの可変」とは、試合中に常に同じ選手の配置で戦うのではなく、より試合を優位に展開させることを目的に、状況に応じてその配置(や役割)を変化させることです。

グアルディオラ監督が採用したことで一躍有名になった「偽サイドバック」はその象徴といえるでしょう。

そしてこの「偽サイドバック」を知ることは、数的優位を作るためにシステムをどのように可変させたらよいのかを知ることに大きくつながります。

 

「偽サイドバック」の例:

①この状況では相手の2トップに対して2センターバックで対応しているため、数的優位を作れていません。

 

②数的優位を作るため、ポジショニングを変える必要があります。

 2センターバック(③④)はサイドバックの位置に、両サイドバック(②⑤)はインサイドハーフの位置に、セントラルミッドフィールダー(⑥)は元々の2センターバックの間の位置にそれぞれ移動します。

 

③下のような配置になり、数的優位を作りつつバランスもとれた理想的なポジショニングをとることができました。

 

このようにサイドバックの選手が内側にポジションを移す戦術を「偽サイドバック」と呼びます

この他にも「偽サイドバック」を活用する方法は色々あり、チームによって戦い方も様々です。

 

しかし私は、「偽サイドバック」の有効性を認識しつつ、選手のレベルが高くないと難しいと思える点もいくつか感じていたため、少し形を変えて「応用形」として導入しています。

 

 

それでは、私が感じた「偽サイドバック」の難点とその解決方法を具体的に見ていきましょう。

 

「偽サイドバック」の難点とその解決方法

注意

・上に書いた通り、ここでいう「難点」は「弱点」という意味ではありません。

 「高レベルの選手がそろっていないとできない点があると感じたので、自分のチームではこのように変えました」という意味です。

・指導しているチームにて「4-3-3」を採用しているため4バックから3バックへの可変例になっていますが、理屈さえわかればその逆の可変方法はもちろんのこと、他のフォーメーションでも活用可能です。

 

難点1:流れの中だと中盤が下りていくのが難しい

ゴールキックならプレーが止まっているので良いのですが、流れの中だと中盤の選手が最後尾まで降りていくまでの距離が長く、時間がかかってしまいます

さらに、降りていくときには相手ゴールを背にしやすく、良い体の向きが作りづらいということもあります。

また、相手がこまめにトップの人数を変えてきたら、中盤の選手の上げ下げで対応するのが大変です。

中盤の選手はただでさえ運動量が必要となるので、可能な限り避けたいところです。

 

難点1の解決方法:2人のセンターバックを横関係から縦関係に可変させる

「難点1」の解決方法として、「2人のセンターバック(③④)を横関係から縦関係に可変させる」という方法があります。

③と④の動きはどちらの選手がどちらの動きをしても問題ありません。

実際にやってみると⑦が下りてくるよりもスムーズに可変でき、ビルドアップもスムーズになることが実感していただけることと思います。

 

ここで終わっても良いのですが、この動きから生じるほかの選手の可変もご紹介します。

 

上がってきたセンターバックの位置に元々いたセントラルミッドフィールダー(⑦)を1列上げます。

 

そのままだとトップの選手(⑪)とポジションが重なりがちになるため、トップの選手のポジショニングや役割にも変化を加えます。

トップの選手が担っていた役割を2人で分担する・別のタスクを与えるなど、選手の個性や相手の戦い方や合わせてうまく活用しましょう。

 

このように比較的運動量の少ないセンターバックに動いてもらうことで、チーム全体の負担増を最小限に留めつつ、効果的な配置転換をおこなうことができます。

 

難点2:センターバックが外に流れてサイドバックが中に入ると、それぞれに全く異なるプレースタイルを要求することになる

ポジショニングが本来のものと大きく変わるというのも、難しく感じている点の1つです。

ただ立ち位置が変わるというだけでなく、中央の選手がサイドに、サイドの選手が中央に移ることになるため、攻撃時の視野が全く変わってしまいます。

これが結構厄介です。

 

また、相手ボールにさせないようにポジショニングを工夫した結果可変システムをとっているのですが、レベルの高い選手だけで構成されているチームではない以上それでも相手ボールになってしまうことは多々あります。

そんな時に守備適性が本来のポジションと合わないため、ここでもやりにくさを感じます。

プロの選手を見ても、「中盤もできるセンターバック」と「センターバックもできる中盤」は数多く目にしますが、「中盤もできるサイドバック」や「サイドバックもできる中盤」はより希少ですので、やはり難しいものなのでしょう。

 

育成という観点では、中央もサイドもできるようにチャレンジさせる価値も十分あると思いますが、まだメインポジションの役割も理解している最中というレベルの選手だと、タスクが複雑になりすぎてしまうと実感しています。

 

難点2の解決方法:サイドはサイドバックに任せ、「偽サイドバック」の位置にはセンターバックとセントラルミッドフィールダーが入る

ポジションが入れ替わることによって生じる難しさを軽減するには、ポジションを入れ替えなければよいのでは?」という結論に達しました。

 

まず、先ほどご紹介した「偽サイドバック」の活用例をあらためてご紹介します。

 

このポジショニングを、次のような動きで作ります。

この結果、以下のようなポジショニングとなります。

各ポジションを担当する選手は違えども、「ポイント2:数的優位を作るためのシステムの可変方法を知る」の「③」と同じポジショニングがとれています。

 

これに加え、相手の中盤の人数や形に合わせて「難点1の解決方法」でご紹介したやり方と使い分けることができると、更に良いでしょう。

 

※④や⑥に相手ゴール近くでのプレーも求める場合には、サイドバックが本職の選手の方がセンターバックが本職の選手より足元の技術に優れていることが多いため、考慮が必要です。

 

ゴールキックに関する注意ポイント4選

ポイント1:ゴールキックは飛ばなくてもよい

ゴールキックについてのお悩みを指導者から聞く際、99%が「ウチのゴールキーパー(またはセンターバック)はキック力がなくて困っている」という内容です。

練習によってキックのコツをつかむ・キック力を上げるということは大切ですが、だからといって他にゴールキックの方法がないかと言えばそんなことはありません。

キックが飛ばなければ短いパスを使ってボールを前に運べばいいのです。

 

「そんなに技術のある子ばかりじゃない」

という声が聞こえてきそうですが、必要なのは難しい技術ではなく、これまで紹介してきたような少しの戦術知識です。

 

ポイント2:ドリブル突破による前進では解決にならない

少数ではありますが、ロングキックでもショートパスでもなく、ドリブル突破によって解決しているチームも目にしたことがあります。

ペナルティーエリア内にドリブルが上手な子に下りてきてもらって、ゴールキーパーがその子にパスをしてドリブルで前に持って行ってもらおうという作戦です。

アイディアとしてはとても面白いですが、年齢が上がっていくとなかなか1対1で突破するのは難しくなってきますし、その子がいない場合どうしたらよいのかもわかりません。

将来を見据えた場合、最善の解決策とは言えないでしょう。

※「突破のドリブル」でなく「運ぶドリブル」でボールを前進させるプレーは必要かつ有効です。

 

ポイント3:ビルドアップだけが解決策ではない

「キックが飛ばない」というお悩みとは無縁でキック力がある子がいるのだとすれば、ビルドアップにこだわる必要はありません

相手が前からプレッシャーをかけに来ていたり、相手ゴール近くにチャンスになりそうな場所があったりするのであれば、攻撃の優先順位として真っ先に狙うべきです。

そうすると相手も対策をとって、ディフェンスを下げたり、危険な場所に選手を増やしたりしてくると思います。

そうしたらフリーな選手が出てきたり味方ゴール前のスペースが広がったりすると思いますので、ロングボール対策をされた場合の備えとしてビルドアップによって崩す方法を練習していけばよいでしょう。

 

ポイント4:必ずしも「プレースキック」で飛ばす必要はない

止まっているボールを蹴って遠くに飛ばしたり高く打ち上げたりするのは、筋力がない年齢の子にはとても難しいプレーです。

しかし、自分に向かってくるボールを蹴り返すと意外と飛ばせるという子も多いのではないでしょうか。

 

ルールが改正されたことにより、ゴールキック時にはペナルティーエリア内に味方を配置することができますので、以下の4つの手順を踏むことにより、止まっているボールを蹴るとき以上の飛距離を出すことが可能となります。

①キッカーの利き足の斜め前に味方に立ってもらう(ここではキッカーが右利きであることを想定)

 

②キッカーから味方にパス

 

③パスをキッカーに返す

 

④キック

 

また、この体勢をとることで、仮にゴールキックがうまくいかずゴール近くで相手にボールが渡ってしまっても、その相手に向かってすぐにディフェンスをしに行ける選手を1人用意することができるため、リスク管理という点でも有効です。

 

まとめ

この記事のまとめ

  • ディフェンディングサードからのビルドアップを成功させる2つのポイント

 ポイント1:相手のトップに対し数的優位を作る

 ポイント2:数的優位を作るためのシステムの可変方法を知る

  • 「偽サイドバック」の難点とその解決方法

 難点1:流れの中だと中盤が下りていくのが難しい
 難点1の解決方法:2人のセンターバックを横関係から縦関係に可変させる
 難点2:センターバックが外に流れてサイドバックが中に入ると、それぞれに全く異なるプレースタイルを要求することになる
 難点2の解決方法:サイドはサイドバックに任せ、「偽サイドバック」の位置にはセンターバックとセントラルミッドフィールダーが入る

  • ゴールキックに関する注意ポイント4選

 ポイント1:ゴールキックは飛ばなくてもよい
 ポイント2:ドリブル突破による前進では解決にならない
 ポイント3:ビルドアップだけが解決策ではない
 ポイント4:必ずしも「プレースキック」で飛ばす必要はない

 


最後までお読みいただきありがとうございます。

 

ビルドアップがうまくいかない現象は多くのチームで見られますが、ボールコントロールやパスの質など技術の向上のみで何とかしようとしているケースがとても多いです。

当然それらのレベルアップはとても大切なことですが、育成年代であればなおさら「戦術的な工夫で状況が打開できること」を学んで欲しいと思います。

よく言われる「個の力」の中には、「正しいプレーを選択する力」も含まれています。

「ボールを失ってはいけないエリアだな」→「味方と相手が同数になってしまっているな」→「自分がここに動けばパスコースができてボールを前に運べるな」と考え行動することは、小学校低学年のうちからトレーニングをして習得すべき内容です。

今回ご紹介した内容は決してレベルの高くない選手でも理解・実行できる内容ですので、これまでピンチになることが多かった自陣深くからのビルドアップを改善させ、より子どもたちが楽しくプレーできる手助けをしてあげてください!

 

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