この記事でわかること
- 「東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方」のおすすめポイント
- 「東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方」の注意ポイント
この記事では上記の疑問を解決していきます。
指導者や保護者の皆様は、選手やお子様にキックを身に付けさせたいときにどのようなコーチングをしていますでしょうか。
ご自身にサッカー経験があればご自身の感覚を伝えることができますし、未経験であっても様々な動画を見て「こんな感じで蹴っている」と教えることができそうです。
そのように感覚でポイントを教えてあげることが上達につながることもありますが、一方で「ボールのどこを足のどこでどのように蹴ったらどう飛ぶのか」という誰にでも当てはまる不変の法則を知っておくことができれば、お互いの感覚にズレがあった場合にも同じ視点で見ることが可能になります。
今回ご紹介する「東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方」は、そのような法則や理論を知りたいという方におすすめの一冊です。
どのように指導現場で役立てられるのかというおすすめポイントだけでなく、購入前に知っておきたい注意ポイントも隠さずご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
こんな指導者におすすめ!
こんな指導者におすすめ!
- 「どのような力をボールに加えるべきか」「どのように蹴ればそのように力をボールに加えることができるか」ということを理論的に理解したい方
- コーチングによって選手のキックを改善させたい方
- お手本を示すために自分自身のパスやシュートの質を高めたい方
- 保護者から「子どものキックはどうしたら改善しますか?」と相談されている方
おすすめポイント
1.個人の感覚に頼らない「理論」を習得できる
「自分はこうやったら蹴れるようになった」「キックの時にはこういうポイントを意識している」といった経験に基づく指導やアドバイスは選手の役に立つことも多いです。
一方で、仮に「力を入れて蹴れ!」と言われた場合、どの程度の力を入れるのか・どこにどのように力を入れるのかは選手によって違ってきてしまうはずです。
その点に目を向けると、この本には表面的な事象ではなく根底にある理論や要点が書かれているため、現状や課題、解決方法について選手・指導者とも共通の認識を持つことが可能になります。
2.理論が実用的でわかりやすい
いくら理論が正しいものであっても、実用的でなかったり分かりづらかったりしたら意味を成しません。
「東大卒コーチのキック理論」ということで私も購入前はその点を危惧していたのですが、難解な表や数式などが出てくることもなく、すんなり頭に入ってくる内容でした。
ちなみに、私は利き足でない左足で蹴った時の方がカーブのかかりが大きいのですが、これまでその理由が分かりませんでした。
しかし、この本に書かれているカーブのかけ方を読んだところ、確かに右足ではそのような蹴り方はしておらず、左足では理論に沿った蹴り方になっていると腑に落ちました。
3.図や写真の量や使い方が適切
スポーツに関する実用書にはたいてい図や写真が使用されていますが、その量や使い方によってわかりやすさは大きく変わります。
この本に使用されている図や写真はかなり多めだと思いますが、その割にうるさくなりすぎず、文章だけではイメージしづらくなりがちなところをうまくフォローしています。
また、OK例とNG例の比較もあるため、頭の中で理論を整理しやすいです。
4.各章の最後に「まとめ」がある
読み終えた直後であればある程度内容は頭に残っているものですが、どうしても時間が経つほどに記憶は薄れてきてしまいます。
そんな時、この本には各章の最後に「まとめ」があるため、時間がないときには全文を読み直すことなくそこに目を通すだけで「ああそうだった」と思い出すことができて便利です。
また、キックの改善に取り組んでいる時のチェックリストとしても活用できます。
5.各章の構成がほぼ同じで頭の中が整理しやすい
どの章も基本的に、「どのような力をボールに加えるべきか」から始まり「どのように蹴ればそのように力をボールに加えることができるか」と進み、その後にワンポイントアドバイスやコラムが入って「まとめ」で締めるという流れとなっています。
そのため情報があちこちに飛ばず、頭の中が整理しやすくなっています。
注意ポイント
1.小・中学生が読むには文章が難しい
この本をキックを改善したい選手自身が読めると良いのですが、小・中学生が読むには文章が難しいです。
本の内容紹介には「サッカープレイヤー、サッカー指導者だけでなくサッカー少年・少女の保護者の方などにも理解しやすい作りとなっています」という記載がありますので、小・中学生が読むことは狙いとはしていないようです。
ただし、先ほどおすすめポイントでご紹介した通り図や写真は豊富なので、ある程度の理解はできると思います。
選手自身にまず目を通してもらい、文章で書かれている部分をコーチや保護者が補足してあげるというのもよさそうです。
2.キックの様子を動画で見られない
キックの様子を動画で見ることができないため、理解が深まらない方もいらっしゃるかもしれません。
屋外で撮影した写真がたくさんあるので、QRコードから動画に飛べるようになっていたりするとさらに良かったのではないかと感じます。
3.アウトサイドキックの蹴り方が紹介されていない
様々な種類のキックに触れられている本書ですが、アウトサイドキックの蹴り方は紹介されていません。
キックが上手な子の中にもアウトサイドではうまく蹴れないという子も意外と多く目にしてきましたので、これは入れておいて欲しかったところです。
(個人的にもアウトサイドでカーブをかけて蹴るのがイマイチうまくできないので・・・)
まとめ
この記事のまとめ
「東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方」のおすすめポイント:
- 個人の感覚に頼らない「理論」を習得できる
- 理論が実用的でわかりやすい
- 図や写真の量や使い方が適切
- 各章の最後に「まとめ」がある
- 各章の構成がほぼ同じで頭の中が整理しやすい
「東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方」の注意ポイント:
- 小・中学生が読むには文章が難しい
- キックの様子を動画で見られない
- アウトサイドキックの蹴り方が紹介されていない
最後までお読みいただきありがとうございます。
私自身のサッカー経験がないため、キックに関してはうまい選手のマネをしたり自身の感覚に頼ったりすることが多々あります。
そうした中である程度できるようになったことも多いですが、一方でそれを選手に伝えたいと思ったときにはいくつかのポイントは全員で共有しつつ、細かなことに関しては相手に合わせて見せ方や言葉の選択、表現方法をその都度変えてもいました。
それによって改善はされるのですが、ベストなやり方ではない・非効率的であるということは薄々感じていました。
そうした中で本書を購入し、要点を整理してチーム全員に同じ表現・伝え方でロングキック改善のトレーニングをしたところ、一度の練習で数名のキックが目に見えて変わりました。
もしそうならずとも、チームの中の誰か一人でもキックが改善するのであれば大成功だと思いますので、この本には試す価値があると思います。
とはいえ、著者が本のおわりに「本書の内容は2023年時点での理論であり、更にアップデートしていきたい」という旨を記しているように、これが完成形ではないのでしょう。
もし後日続編が出るのであればまた読んでみたいですし、それを待つことなく私もより良い指導・コーチングの方法はないか、この本で得た知識をベース・土台としつつ考えていきたいと思います。