この記事でわかること
- 初心者でも取得できる指導者ライセンスの種類
- サッカー未経験の指導者が資格を取ることによる効果
サッカー未経験の指導者でも、コーチライセンスの取得は可能です。
10年以上指導を続けている私もサッカー未経験ですがコーチライセンスを取得していますし、他にも初心者ながら指導者資格を取った指導者をたくさん知っています。
ライセンスを取得するためには当然ながら相応の努力や勉強が必要となりますが、本業ではないサッカー指導のためにライセンスを取ろうとするような熱意のある方であれば、問題なく取得できるはずです。
それでは、サッカー初心者のコーチでも取得できる指導者ライセンスの種類とその効果について、これから見ていきましょう。
もくじ
サッカー初心者のコーチでも取得可能な指導者ライセンスは何か?
サッカー未経験からスタートした指導者が取得していることが多いライセンスは、主に以下の3種類です。
・日本サッカー協会公認D級コーチ
・日本サッカー協会公認C級コーチ
・日本サッカー協会公認キッズリーダー
ライセンスを取得するためには日本サッカー協会(JFA)が開催する指導者養成講習会に参加して合格となる必要があります。
ライセンスによっては受講自体が難しいものもありますが、この3種類のライセンスは下記の通りいずれも受講が容易です。
どなたでも受講できます!(C、D級 18歳以上、キッズリーダー 15歳以上)
C級、D級、キッズリーダー養成講習会受講希望の方は、JFA-IDを取得の上KICKOFFより講習会を検索頂くか、都道府県サッカー協会のホームページをご確認ください。都道府県サッカー協会(一部、例外あり)により、開催日程・場所・費用などが決定されます。
※既にJFAに登録している方(JFA ID取得済みの方)は、KICKOFFの「マイページ」左下部「指導者」のボタンから申込できます。引用元:日本サッカー協会(JFA)
このあと各ライセンスの内容をご紹介しますので、それぞれの違いを知って取得の参考にしてください。
日本サッカー協会公認D級コーチ
講習会の目的:アマチュアレベル(子どもを中心に)を対象とした指導者を養成すると同時に、子どもたちにサッカーの楽しさを伝えられる指導者を養成することを目標とする。
概要:C級講習会の内容を、子どもの指導を中心に凝縮した形で取り組む。
主催・主管:(公財)日本サッカー協会
共催:都道府県サッカー協会
受講資格:
・受講年度の4月1日において、満18歳以上であること
・地域においてスポーツ活動を実施している指導者および、これから指導者になろうとする者
定員:1コースあたり最大40名
受講料:受講料は主催団体が決定する(JFA納付金1,000円、教材費などを含む)
カリキュラム概要:
【講義】子どもたちのサッカー、大人の関わり、発育発達と一貫指導など8時間
【実技】さまざまなゲーム、テクニックなど4時間
年間登録料:3,000円
引用元:日本サッカー協会(JFA)
私の周りでは、この3つの中でもD級ライセンスを取得している人が特に多いように感じます。
「講習会の目的」に「子どもたちにサッカーの楽しさを伝えられる指導者を養成することを目標とする」とあるため、初心者コーチが勉強しておくにふさわしい内容となっていることがその大きな理由の1つであることは間違いないでしょう。
各都道府県の募集要項を見てみると、年に一度ではなく数回開催されることが多く、日程は基本的に土・日・祝日を利用した2日間詰め込み型で、受講料は15,000~25,000円ほどとなっていました。
即決で出せる金額ではないかもしれませんが、C級と比べれば日程や金銭面で都合がつけやすいですし、C級以上ではライセンスの更新に必要になるリフレッシュポイントの獲得もD級では不要です。
実技レベルに不安を感じるかもしれませんが、お父さんコーチだけでなくお母さんコーチも合格していますし、受講経験者の話によるとまじめな態度で取り組んでいれば不合格になる心配はなさそうです。
日本サッカー協会公認C級コーチ
講習会の目的:アマチュアチーム及びアマチュアレベルの選手(子どもから大人)を指導できる人材を養成すると同時に、これから指導者としての基礎を築こうとする指導者を養成することを目的とする。基礎Ⅰとする。
概要:基礎的なゲーム分析、トレーニングプランの作成、トレーニングセッションを受講生同士が連携して実践し、アマチュアチーム・アマチュア選手の育成ができるように取り組む。
主催・主管:(公財)日本サッカー協会、(公財)日本スポーツ協会
共催:都道府県サッカー協会
受講資格:
・受講年度の4月1日において、満18歳以上であること
・地域においてスポーツ活動を実施している指導者および、これから指導者になろうとする者
定員:1コースあたり最大24名
受講料:受講料は主催団体が決定する(JFA納付金2,000円、教材費などを含む)
カリキュラム概要:
【講義】分析・プランニング・コーチング、競技精神、メディカルなど14時間
【実技】テクニック・戦術、指導実践など24時間
日本スポーツ協会資格:日本スポーツ協会公認コーチ1
年間登録料:5,000円
引用元:日本サッカー協会(JFA)
まず最初にお伝えしておくと、D級ライセンスを保持していなくてもC級ライセンスは取得可能です。
私もD級を飛ばしてC級からの挑戦でしたが、不便は感じませんでした。
とはいうものの、インターネット上では「サッカー未経験だけどC級ライセンスを取りました」という人を見かけますが、私の周りにはいません。
その理由は、まず第一に、本業を持っている人にとっては参加することがD級に比べてはるかに難しい日程になっていることが挙げられます。
1週間にわたって毎日朝から夕方まで講習会に参加するのはとても難しいことです。
1週間連続でなく飛び飛びの日程になっていることもありますが、休日が不定期な方の参加は難しいでしょう。
また、受講料も45,000円前後となっている都道府県が多く、金銭面の負担もD級と比べて大きくなります。
では、C級ライセンスの魅力や価値は何なのかというと、ここから指導実践の試験が入ってくるところだと思います。
指導実践の試験では、実際に自分で指導案を作成し、それに基づいたトレーニングをおこなって選手のプレーを改善していきます。
インストラクターからのダメ出しもありますが、ほぼ自己流のみでやってきたサッカー未経験の指導者にとってはレベルアップのための大変貴重な経験になるはずです。
不合格になっても追試という救済措置がありますので、そこで改善された姿を見せられるよう頑張ってください。
日本サッカー協会公認キッズリーダー
講習会の目的:10歳以下の選手・子どもたちに関わる指導者・保護者で体を動かすことの楽しさを伝える指導者の養成を目的とします。
概要:非常にコンパクトなカリキュラム構成で、誰もが楽しんで学べる形で取り組む。
主催・主管:(公財)日本サッカー協会
共催:都道府県サッカー協会
受講資格:
・受講年度の4月1日において、満15歳以上であること
・地域においてスポーツ活動を実施している指導者および、これから指導者になろうとする者
受講料:受講料は主催団体が決定する
カリキュラム概要:
【講義】1.5時間
【実技】1.5時間
年間登録料:3,000円
引用元:日本サッカー協会(JFA)
講習会の目的を「10歳以下の選手・子どもたちに関わる指導者・保護者で体を動かすことの楽しさを伝える指導者の養成」としているのがキッズリーダーです。
はっきりいってキッズリーダーはおすすめです。
D級ライセンスよりもさらに簡単に取得できますのでまずキッズリーダーを取得してみるというのも良いと思いますし、D級ライセンスを取得した人も追加で取得してみると良いと思います。
D級と同じく更新の際にリフレッシュポイントを獲得する必要がないので、取得後の勉強がおろそかになってしまう恐れはありますが、参加費は数千円で済みますし、何よりも育成年代の指導者にとっては内容が参考になります。
番外:海外の指導者ライセンス
現在では日本で取れる海外指導者ライセンスも増えてきています。
私もこれまで何度か講習会に参加し、海外の指導者資格を取得しています。
海外の指導者ライセンスと言っても、現地まで行って取得するわけではありませんし基本的に通訳もついていますので、安心してください。
講習会の内容・質・拘束時間・参加費用もピンキリなので取捨選択が難しいかもしれませんが、「女子サッカーについて」「小学生年代のフィジカルトレーニングについて」など特定の分野に特化した講習会もあるので、自分が身に着けたい分野のものがあれば受講を検討してみるのもよいでしょう。
講習会の案内は様々なサイトでおこなわれていますが、中でも下の2つサイトは更新頻度が高めなので、興味がある人はこまめにチェックしてみてください。
サッカー未経験の指導者が資格を取ることによりどんな効果が得られるのか?
資格取得による効果はいろいろあるように思いますが、指導者ライセンスを取ったお父さんコーチ・お母さんコーチに話を聞くと次のような効果が大きいようです。
自分の指導に自信がつく
講習会で指導のポイントを学ぶことで、根拠を持ってコーチングできるようになったと感じる人が多いようです。
何となく思い付きでやる練習と理論的に考えられた練習では、当然ながら効果も全く違ってきます。
質の高い練習をすることができれば選手の成長もより明確になってくるため、さらに自分の指導に自信がつくという良いサイクルに入っていけます。
また、日頃選手たちに「ミスしてもいいからチャレンジしてみよう」と言っているのに、「じゃあコーチはどんなチャレンジをしているの?」と言われて返事に困るようでは説得力がありません。
「コーチもサッカーやったことなかったけど頑張って資格を取ったよ!」と言えるのは大きいと思います。
選手が練習内容に納得感を得られる
選手が指導者を妄信してしまうのは良くないことですが、私も指導をしていて「ライセンス保持者だからすんなりいうことを聞いてくれる部分もあるのかもしれないな」と思うことが時々あります。
たとえ同じ練習メニューに取り組ませるにしても、「きちんと勉強をしてきた人がさせる練習なのだから意味があるのだろう」と思わせるのと「何の意味があるのだろう」と思わせてしまうのでは、成果に大きな違いを生じさせます。
コーチングの勉強をしていなくても卓越したボールコントロールを見せれば子どもたちは尊敬のまなざしで見てくれますが、長期的に子どもたちを成長させ、サッカーに夢中にさせるためにはきちんと勉強して得た知識に基づいた指導力が必須です。
サッカー経験のない私ですが、練習の意図を毎回きちんと説明し、選手の質問に対しても丁寧に納得感の得られる回答を示すことにより、私よりはるかに技術のある子どもたちからも信頼を得ることができています。
指導に関する知識とそれを得た証である指導者ライセンスは、スムーズにトレーニングをおこなうための潤滑油の役割を果たしてくれていることは間違いありません。
保護者に安心感を与えられる
選手自身だけでなく子どもを預ける保護者からしても、どんな人が指導をしているかというのはとても重要です。
子どもをそのチームに入れるかどうかをホームページやチラシを見て検討する保護者も多いので、そこに資格を持ったコーチがいることを記載できれば、与えられる安心感は大きくなります。
その点はすでに在籍している子どもの保護者にとっても同じでしょう。
実際には指導能力があればライセンスはなくて良いと思いますが、指導者にサッカー経験がないことで選手や保護者が不安を抱いたとしても不思議ではありません。
それを解消するために、一定の指導能力があることを資格取得という目に見える形で証明できるのはとても有効です。
他の指導者と協力関係が築ける
講習会には、近隣や少し離れた地区のチームの指導者も参加していることが多々あります。
講習会中に交流を深めることで、後日練習試合を組んでもらったり、自分たちのグラウンドが使えないときに合同練習をさせてもらったり、別の機会に一緒に講習会に参加したりと、様々な面でお互いに協力し合い高めあうことができるようになります。
他のチームの指導者と顔を合わせる機会は大会の時だけという人も多いと思いますので、講習会という貴重な機会をぜひ活かしてください。
まとめ
この記事のまとめ
- サッカー未経験からスタートした指導者が取得していることが多いライセンスは、主に以下の3種類。
・日本サッカー協会公認D級コーチ
・日本サッカー協会公認C級コーチ
・日本サッカー協会公認キッズリーダー
また、この3つに加えて、海外の指導者ライセンスも取得可能。
- サッカー未経験の指導者が資格を取ることによる効果は、主に以下の4種類。
・自分の指導に自信がつく
・選手が練習内容に納得感を得られる
・保護者に安心感を与えられる
・他の指導者と協力関係が築ける
最後までお読みいただきありがとうございます。
サッカー未経験の指導者でも取得できるライセンスがあり、取得による良い効果もたくさんあります。
よく言われることですが、指導者にとって一番大事なのは常に勉強し続けること。
それができずに何の疑問も持たずに自分の現役時代の練習ばかりやらせている経験者より、常にトライ&エラーを重ねて成長しようとする未経験者の方が選手にはずっと有益です。
不合格になるのが怖くて受講をためらってしまう気持ちもわかります。
しかし、結果として不合格になったとしても、その後の指導に活かせる知識や経験は必ずあるはずです。
すでに述べた通り資格取得には時間と費用がかかりますが、そこに問題がなければぜひチャレンジしてほしいと思います。