サッカー界で多くかわされる議論の1つに、マーカー間のドリブルや対面パスなどの「相手のいない練習」は必要なのかどうかというものがあります。
一般的には、
・相手のいない練習=クローズドスキルのトレーニング
・相手のいる練習=オープンスキルのトレーニング
とされることが多いですが、どのようにこの2つを使い分けるのが良いのでしょうか?
相手をつける側の考えとしては、
「相手がいてこそ、今おこなったのが良いプレーだったかどうかが理解できる」
「状況に応じて適切なプレーが選択できるようになるためには相手が欠かせない」
というものが多いです。
例えば、次にどのようなプレーをするかによって適切なファーストタッチは変わってきます。
対面してのパス交換では狙ってタッチを大きくしたのかミスなのかが曖昧になりますが、相手がボールを奪いに来る状況では、ファーストタッチが大きくなってボールを奪われたのであれば、自分のミスとして自覚できます。
一方、相手をつけない側の考えとしては、
「まずは相手がいない状態でできるようになってから、次の段階として相手をつけてできるようにすればよい」
「相手がいない状態でもできないのに相手をつけても、練習にならない」
というような「段階を追って成長させていく」という意図があります。
(私は前者寄りといいますか、「クローズドスキルの練習でも認知・判断の要素を入れるべき」という考え方です)
問題なのは、
・どちらかに偏りすぎてしまうこと
・選手のプレーレベルに合わないトレーニングをしてしまうこと
ですので、そうならないために「9つの段階」を判断材料としています。
「プレーレベル」による3つの段階分け
・相手がいなくてもできない状態
・相手がいなければ(少なければ)できるが、相手がいると(多いと)できない状態
・相手がいてもできる状態
「プレー人数」による3つの段階分け
・個人
・グループ(複数で構成されてはいるものの、チーム単位まではいかない人数)
・チーム
このそれぞれ3つずつの段階を掛け合わせた3×3=9段階のうちのどの段階にあるかにあてはめることで、相手をつけた方が良いかどうかの判断が可能になります。
一番イメージしやすいのは、「相手がいなくてもできない状態」の「個人」でしょうか。
サッカーを始めたばかりでボールを蹴ったり止めたりすることがままならなければ、対面パスをするのも相当な難易度に感じられるでしょう。
一方でイメージしにくいのは、例えば「相手がいなければ(少なければ)できるが、相手がいると(多いと)できない状態」の「グループ」などが該当します。
これは例えば、「相手がいたとしても4対1のパスなら回せるが、3対1や4対2などになったとたんにミスが増える」といった状態です。
このような状態であれば、3対1や4対2といった少し複雑なトレーニングをしてもらうことが適切なレベルだと言えるでしょう。
このように、今の段階に合わせたトレーニングをメインにしたうえで、次の段階の練習も少し組み込むようにします。
こうすることで、基本的には各自のレベルに合ったトレーニングをおこないつつも、「何のために今のトレーニングをしているのか」「1つ上のレベルに行くためには何ができるようになる必要があるのか」を理解してもらいやすくなります。
子どもたちが着実にレベルアップしていけるよう、このような判断基準を持ちながらこれからも頑張っていきます。