先日録画しておいた『奇跡のレッスン「世界の最強コーチと子どもたち」』という番組を視聴しました。
「フットサル日本代表監督ミゲル・ロドリゴ氏が1週間少年サッカーを指導してどのような変化が生まれるのか?」という話でしたが、やはり指導者が変われば子どもたちも変わるものですね。
子どもたちが楽しそうに自分を表現し力を発揮しているのを見るのは、自分の指導している子でなくても嬉しいものです。
そんな中でもいくつかの疑問は出てくるもので、そのうちの1つがロドリゴ氏の指導方法。
子どもたちを前向きにさせる・気分を乗せる方法は大変素晴らしいと感じましたが、プレーの指導については「こういうプレーをすれば状況を解決できるだろ?」という答えを与えるのが早すぎる気がしました。
指導者は問題の解決方法をいくつも持っていなくてはなりませんが、子どもが自分で解決策を考えられるように(理想を言えば指導者も思いつかなかった解決策を思いつくように)なるためには、もう2~3個質問を挟んでからプレーを示すのでも良かったと思います。
これが1週間という時間的制約のせいなのか、それとも十分な時間があってもこのように進めていくのか、大変興味があるところです。
もう1つの疑問は、元々このチームの指導をされている方々の指導方法について。
1週間で子どもたちが劇的に変化したのは喜ばしいですが、裏を返せばそれまでの指導で子どもたちを成長させられていないということでもあります。
番組の頭で普段の練習の様子が見られましたが、「指導者の持っている答えにいかに子どもを近づけさせるか」という指導になっているように感じました。
番組サイトには「東京のごく平均的なレベルの少年サッカーチーム」とありましたが、子どもたちの技術は高かったと思いますので、普段から「サッカーには問題を解決する方法がいくつもある」ということを伝え、チャレンジさせ、ミスをさせてあげていれば、ロドリゴ氏の力を借りるまでもなかったように思います。
私の所属しているチームとは比べ物にならないくらいしっかりと組織のできあがっているクラブのように見えましたが、そのような素晴らしいクラブであるあまり、勝利という結果が最優先になってしまっているのでしょうか。
指導者の方が「子どもたちの課題はメンタル」という話をされていましたが、それはチーム全体に当てはまるのではないでしょうか。
指導の際に「これはダメ」「今のはダメ」という言葉を発していれば、その声は子どもたちだけでなく当然自分も聞いているわけで、言い続ければいつの間にか自己暗示となってしまいます。
ロドリゴ氏からチームを返してもらった後も変化は継続しているのか、続編・番外編を観てみたいものです。
日本全体で問いかける指導・前向きにさせる指導が当たり前になれば「奇跡のレッスン」でもなんでもなくなるわけなので、このような番組が成り立つことに日本サッカー界全体がもっと危機感を持たなければならないと感じました。