コラム

初心者コーチでも迷わない|サッカー指導案の書き方・作り方

※本記事の内容は、noteにて公開中の記事より著者が特別に再構成・引用したものです。

👉https://note.com/pf_soccer_coach/n/ne0645ea4e59f


はじめに

こんにちは。
「PLAYERS FIRST! 〜育成年代コーチのためのサッカー指導メソッド〜」をご覧いただきありがとうございます。

「良いトレーニングをおこなうには良い準備が必要」というのは言うまでもありませんが、サッカー指導においても指導案を作成してトレーニングに臨むことで、より効果的な練習ができるようになります。

初心者コーチなど指導案の作成に慣れていない方でも「書き方」と「作り方」のポイントさえ押さえれば質の高い指導案が書けるようになりますので、ぜひ参考にしてください。


①【どのように書く?】誰が見ても見やすい・分かりやすいように書く

指導案は基本的にコーチ自身が見るものですが、指導経験が浅いうちは 「誰が見ても理解できる」ことを意識してください。
その理由は以下の2つです。

・後から見返したときに練習の内容や意図がすぐ思い出せるため
・必要な時に選手や他のコーチと共有しやすくなるため

環境があれば、「指導案はPCでA4サイズ1枚にまとめる」 ことが望ましいです。
※毎回1から指導案を作成するのはとても大変なので、エクセルやPDFなどでフォーマットを作成しておくと便利です。

もし手書きになる場合には、

・直線は定規で引く
・文字は小さくしない
・図は「見返して理解できる」レベルで描く

といった点に注意してください。


②【何を書く?】各トレーニングの内容を記載する

各トレーニングについて、以下の内容を記載しましょう。

・氏名
・実施日時
・トレーニングテーマ
・キーファクター
・オーガナイズ(選手や用具の配置・使用する広さなど)
・トレーニングのルール(得点方法・プレーの再開方法・タッチ数制限などの特記事項)
・トレーニング時間
・必要な用具
・参加人数(グループ分けが必要であれば各グループの人数も)
・その他注意事項(練習が簡単すぎたり難しすぎたりした場合の調整方法など)

上記以外の項目であっても必要であれば記載してかまいませんが、その場合は指導案が見づらくならないように気を付けましょう。

指導に慣れてきたら次第に簡略化していける部分もあると思いますが、まずは面倒くさがらずに各項目をすべて埋めていきましょう。

上記の項目の中で詳しい説明が必要なのは、「トレーニングテーマ」と「キーファクター」でしょう。

トレーニングテーマとは?

「その日のトレーニングで何を改善したいのか」を示すものです。
例えば、もっと自分たちでボールを保持する時間を増やしたいから「ポゼッション」をテーマとするといった具合です。
「今日はドリブルの練習をしよう」「今日はパスの練習をしよう」というのでなく、どのようなシーンを想定して何を改善するためにドリブルやパスを改善する必要があるのかということを考えてテーマとして設定する必要があります。

キーファクターとは?

「テーマとした課題を改善するために具体的に何ができるようになれば良いか」を示すものです。
例えば、テーマを「ポゼッション」としたとしても、ボールコントロールがうまくいかずにパスがつながらないのと、ボールを受ける場所が良くないためにパスがつながらないのでは、必要なトレーニングは全く違ってきます。

指導案を作成するときは、毎回練習の「テーマ」「キーファクター」を設定することが大切です。
これにより、指導者・選手ともにトレーニングにおいて何を意識すればいいかが明確になり、練習の質が格段に上がります。
自分の指導するチーム状況やレベルなども考慮して適切なテーマとキーファクターを設定しましょう。


③【どのように練習メニューを組む?】練習の流れを考えて練習メニューを組む

練習の流れは大きく分けて2つのパターンが考えられます。

パターン1

①ウォームアップ
②トレーニング1
③トレーニング2
④ゲーム
⑤クールダウン

チームとして活動している場合はこの流れで練習をおこなうことがほとんどでしょう。
頭や体への負荷が軽めのメニューから始めて徐々に負荷の高い試合の状況に近づけたトレーニングにしていき、最後はゲームで締めるというスタンダードな流れです。

パターン2

①ウォームアップ
②ゲーム
③トレーニング1
④トレーニング2
⑤ゲーム
⑥クールダウン

まず最初にゲーム形式から入り、ゲームでの課題を改善するためのトレーニングを挟んだのちゲーム形式で締めるという流れです。

この流れでおこなうトレーニング方法は、ゲームのことを「マッチ」と言うこともあることから、「マッチ(Match)-トレーニング(Training)-マッチ(Match)」の各頭文字をとって「M-T-M(エム・ティー・エム)」や「M-T-M方式」などとよばれます。
細かいルールを設けた練習が難しい小学校低学年を指導する際などには、1日の練習をM-T-Mでおこなうこともとても有効だったりします。
※より一般的に言われる「M-T-M」は、「前回のゲームで課題が出る→次の試合に向けてトレーニングで改善→次の試合に臨む」という、より長期的視野に立ってのアプローチ方法のことを指します。

ウォームアップとは?

指導案におけるウォームアップとは体を温めることを目的としたジョギングや体操などのことではなく、その日のトレーニングの目的に沿った基本のボールコントロールや動きをおこなうもののことです。
例えばポゼッションをテーマとしたトレーニングをおこなう場合は短めのパスとそのコントロールが増えるでしょうから、そうした要素があるものをおこないます。
負荷は低めに抑え、対人要素がないものも多いです。
単純に体を温める目的の運動はその前におこなうのが一般的ですが、寒い時期にはそうした目的を取り入れたウォームアップメニューにするなどの工夫ができるとよいでしょう。

トレーニング1とは?

ウォームアップよりも身体的負荷が高まり、ルールも多少複雑になります。
少なくともここからは対人要素が入ってきますが少人数同士のマッチアップに留まり、必要なボールコントロールや動きをシンプルなトレーニング設計の中で理解・習得する段階です。

トレーニング2とは?

トレーニング1をより実戦に近い形に近づけ、構成するグループの人数も増えた状態でおこないます。

ゲームとは?

最後に試合形式のトレーニングをおこない、その日のトレーニングの成果を確認します。
ゲーム形式のトレーニングは各自思い思いのプレーをする場ではないため、そうした様子が見られたら選手とともに確認・修正を図りましょう。
通常の試合のルールでおこなうこともあれば、コートのサイズの変更やフリーマンの採用、特別ルールの設定などをおこなうこともあります。
どちらがよいというわけではなく、目的に沿って選択しましょう。

クールダウンとは?

これはストレッチやジョグといった一般的なクールダウンと同義ととらえていただいて結構です。


④練習後にすべきこと

1日の練習が終了すれば、指導者はいったん緊張から解放されることになります。
まだ指導に慣れていないというコーチであるほどその気持ちは強いと思いますが、練習後にもおこなうべきことが指導者にはあります。

それは、「うまくできたこと・できなかったことを確認し、できた理由・できなかった理由を考えて次に活かせるようにする」ということです。
反省するときにできなかった理由を考えることは良くありますが、できた理由を考えることも大変重要です。
使用した指導案は良かった点や改善点を書き加えたうえでファイリングしておき、いつでも見返せるようにします。

指導者となって間もないうちは、指導案の通り・事前に計画していた通りに物事が進むなどということの方が珍しいくらいでしょう。
うまくいかなかったからといって必要以上に悩むことなく、また、うまくいったからといって有頂天になることなく、「どうやったら次回の練習がより良くなるか」に意識を向けましょう。

また、どのようなレベル・カテゴリーを指導していたとしても、大事なのは「用意した指導案の通りにトレーニングができたかどうか」でなく、「選手が成長できたかどうか」です。
そのため、必要と判断すればその場で練習メニューを変更することも当然あり得ますが、慣れないうちは練習メニューを変更することにより本来のテーマやキーファクターから遠ざかってしまう危険性もありますので、その点は注意しましょう。


⑤おまけ:トレーニングは指導案を見ながらおこなうべきか?見ずにおこなうべきか?

「トレーニングは指導案を見ながらおこなうべきか?見ずにおこなうべきか?」
これはそれぞれにメリットデメリットがあるため、指導者にとっては悩ましいところです。

私はサッカーの指導法を学んだ先生に、「指導案を見ながらトレーニングをしていると自信がなさそうに見えるからやめた方がいい」と言われたため、早いうちから指導案を見ずにトレーニングをおこなうようになりました。

現在は指導案を見なくともまったく問題ありませんが、指導を始めた当初はトレーニング中に「次は何をやるんだっけ?」「この練習では何を意識してもらうんだっけ?」となったこともありました。
指導案を見ながらトレーニングをおこなうメリットはまさにその部分で、計画に沿って伝え忘れなどなく進めることができます。

理想は、トレーニング中に指導案を見る必要がないほど練習内容を事前に頭に入れておくことでしょう。
しかし、「そんな時間とれないよ!」という方も多いことでしょう。
ですので、指導案をもう1部用意してポケットに入れておきましょう。
もしくは必要なポイントをまとめた小さなメモでも大丈夫です。
そしてなるべく指導案やメモを見ずに練習を進め、困ったときはそれらをこっそり見るようにしてはいかがでしょうか。
そうするうち、とどこおりなくトレーニングが進められるようになっていくはずです。

※ポケットに使用済みの指導案やメモを入れっぱなしにしたりすると、出し忘れてそのまま洗濯してしまったり、夏場には汗でグチャグチャになってしまったりするので注意しましょう。


まとめ

サッカー指導案の書き方・作り方のポイント:
①誰が見ても見やすい・分かりやすいように書く
②各トレーニングの内容を記載する
③練習の流れを考えて練習メニューを組む

練習後にすべきこと:
うまくできたこと・できなかったことを確認し、できた理由・できなかった理由を考えて次に活かす


おわりに

最後までお読みいただきありがとうございます。

先日、以前私が教育実習においてサッカークラブを指導するために作成した指導案を見つけたのですが、今見返すと恥ずかしくなるような内容でした。

その時指導した子どもたちには申し訳ない気持ちでいっぱいですが、一方で当時とは比べ物にならないほど指導者として成長したことも実感しました。

指導者も選手と同じくトライ&エラーで成長していくものなので、思い描いていたトレーニングにならなかったとしても次に改善すればよいのです。

今回の記事を参考に、徐々にレベルを上げていきましょう。


【保存版】指導メソッド・ライブラリ

本記事でご紹介した内容以外にも、キーファクター解説やピッチで使える実践的練習メニュー、知見を広げるコラムなど、現場の課題を解決するための様々な記事を公開しています。

👉 【保存版】現場で使える「指導メソッド」|ジャンル別全記事インデックス(随時更新中)

あなたの「指導の辞書」としてぜひご活用ください。

Copyright© PLAYERS FIRST! , 2026 All Rights Reserved.