※本記事の内容は、noteにて公開中の記事より著者が特別に再構成・引用したものです。
👉https://note.com/pf_soccer_coach/n/n4477a767b6dd
今後の「実践編(現場で使える1日練習メニュー)」は原則として有料(500円〜)ですが、本記事に限り、その内容や質を確認いただくための「フルサイズ・サンプル」として永久無料公開しています。
今後の実践編も本記事と同等のクオリティで提供いたします。
有料記事のご購入に不安や抵抗がある方は、まず本記事を最後までお読みいただき、私の指導ポイントや練習メニュー作成の基準(スタンダード)をご判断いただければ幸いです。
はじめに
こんにちは。
「PLAYERS FIRST! 〜育成年代コーチのためのサッカー指導メソッド〜」をご覧いただきありがとうございます。
「周りを見ろ!」といつも繰り返し伝えているのに、全く判断が変わらない。
本記事は、そんな「周囲の認知」について悩みを持つ指導者の方に向けて、ポゼッション中、周りを観て、状況に応じて判断を変えられる選手を育てる練習メニュー
を紹介する【実践編】です。
ここで評価するのは「成功したプレーの回数」ではありません。
状況を見て、途中で判断を変えられた回数です。
育成年代で本当に伸ばしたいのは、結果の良し悪しではなく、変化する状況の中で選択肢を更新できる力。
本記事の練習メニューは、その力を引き出すことを目的に設計しています。
メニューは、
ウォームアップ → トレーニング1 → トレーニング2 → ゲーム
という1日の流れを意識して構成されており、認知の負荷が低い状況から徐々に複雑な状況へと段階的に進む設計になっています。
そのため、選手の認知や判断がどのように変化していくかまで観察することができます。
※本記事の練習設定(コートサイズ・練習時間など)は固定していません。
大切なのは「形」ではなく、選手に「周りを観る必要」が生まれる環境を作ることです。
環境設定の考え方については【自チーム向けに最適化|練習メニューの調整法】の記事で詳しく解説していますので、あわせてご活用ください。
また、同じキーファクター「周囲の認知」についての考え方や指導基準を詳しく整理しているのが【概要編】です。
練習の狙いやルール設定の意図をより深く理解し、最大限の効果を発揮したい場合は、あわせてご覧ください。
※本記事の動画は限定公開です。外部への転載や共有は固くお断りいたします。
本日の指導の「合言葉」
「何を観た?」(「観ろ!」ではなく「何を観た?」と問いかける)
ウォームアップ(理解と準備の土台をつくる)
4人でのドリル
■ 練習開始時の基本配置

■ 狙い:
周りを観ながらプレーする感覚を、妨害のない状況で身につける
■ 人数:
4人
■ 開始方法:
5つのマーカーのうち4つに選手が入り、そのうち2人はボールを持つ。
■ 選手ができる動きは以下の3種類。
①マーカー間のドリブル
②マーカー間のパス
③マーカー間の移動
この3つのルールを守りながら、全員が同時並行でプレーを続ける。
■ 指導者の観察ポイント:
・プレー前やプレー中に首を振って周囲を確認する回数が増えているか
・ボール保持中に顔が下がり続けていないか
・パスを出す直前に受け手以外の情報も見ようとしているか
■ 選手への問いかけ(声掛け)例:
・「周りの選手はどっちに動いてる?」
・「ぶつかる前にコースを変えられたね、ナイス!」
■ 認知が起きているサイン:
・出そうとしていたパスをやめてドリブルに切り替える
・同じマーカーに向かいそうになったとき、途中で進路を変える
・味方とぶつかりそうになる前にスピードを緩める
■ 評価基準:
「ミスをしなかったか」よりも「途中で判断を変えられたか」
■ 備考・注意点:
・4人でなくても可能。その場合、合計のマーカー数を参加人数+1~2個(中央に1個、それ以外はその周り)、ボールの数は人数の半分(または人数の半分+1個)を目安に用意する。
6人の場合の例:マーカー8個・ボール4個
・マーカー間の距離は、ストレスなくパスがつなげる距離にする。
トレーニング1(典型的な状況下で実践する)
ポゼッション(マーカーゴール×4)
■ 練習開始時の基本配置

■ 狙い:
シンプルでポゼッション側が有利な設定の中で、周りを観ることによる成功体験を得る
■ 人数:
3 vs 3 + 1フリーマン
■ 開始方法:
ライン上の任意の場所からスローインで開始。
■ 得点方法:
4つあるマーカーのいずれかの場所でボールを止める。
■ アウトオブプレー時再開方法:
・得点後は、失点したチームが開始時と同じ方法で再開。
・ボールが外に出たときは、その場所からスローインで再開。
■ 指導者の観察ポイント:
・ボールを受ける前にどのゴールが空いているかを確認しているか
・パスを出した後に他に空いているゴールがないかをすぐ見ているか
・守られているゴールに固執せず狙いを変えられているか
■ 選手への問いかけ(声掛け)例:
・「(パスを出す前に)今、どこのゴールが空いてる?」
・「詰まった時に逆サイドを見れたのは素晴らしいよ!」
■ 認知が起きているサイン:
・攻めるゴールを状況に応じて変えることが増える
・少ないタッチで大きくボールが動く
・ボール保持者の体の向きがプレー中に何度も変わる
■ 評価基準:
「ゴールできたか」よりも「攻めるべきゴールを認知できたか」
■ 備考・注意点:
・相手からボールを奪ったら必ず1本はパスをつないでからゴールを攻めること。
・人数を変えても可能。
その場合、各チームの人数+1個のマーカーを置く。
4 vs 4 + 1フリーマンの例:5個のマーカーを置く。
・マーカーは、複数のゴールを1人で同時に守ることができない距離間で等間隔に配置する。
トレーニング2(変化のある状況下で実践する)
ポゼッション(ラインゴール×4)
■ 練習開始時の基本配置

■ 狙い:
より複雑な状況でも周りを観られるようにし、ゲームにつなげる
■ 人数:
6 vs 6 + 1フリーマン
■ 開始方法:
ライン上の任意の場所からスローインで開始。
■ 得点方法:
5本以上パスをつないでから、4つあるラインゴールのいずれかをドリブル突破する。
■ アウトオブプレー時再開方法:
・得点後は、失点したチームが開始時と同じ方法で再開。
・ボールが外に出たときは、その場所からスローインで再開。
■ 指導者の観察ポイント:
・ボールに関わっていない選手が周囲を見ながら立ち位置を修正しているか
・パスコースが消えた瞬間に次の選択肢へ移れているか
・同じゴールへの攻撃が続いていないか
■ 選手への問いかけ(声掛け)例:
・「(パスを出した後)次はどこが空きそう?」
・「サポートの立ち位置を変えてパスラインを作れたね!」
■ 認知が起きているサイン:
・攻撃方向が頻繁に変わる
・1 vs 1 の状況になる前にフリーな選手にパスするようになる
・攻守の切り替えが減る
■ 評価基準:
「相手を抜くドリブル(目の前の相手をかわすドリブル)」ではなく、「運ぶドリブル(空いているスペースへボールを移動させるドリブル)」で余裕をもってゴールできているか
■ 備考・注意点:
・リターンパスは使ってよいが、つないだパスの本数には含めない。
・相手にボールを触られた場合、パスの本数はリセットされる。
・各ゴールの幅は、2人でも守り切るのが難しいくらい広めの幅に設定する。
(「4つのゴールをそれぞれ誰かが守り、それ以外の選手でボールを奪いに行く」というやり方が通用しないようにする)
ゲーム(実際の試合に近い環境下で発揮する)
ミニゲーム
■ 練習開始時の基本配置

■ 狙い:
これまで取り組んできた「周りを観る」プレーが、ゲーム形式の中でも自然に出ているかを確認する
■ 人数:
6 vs 6 + GK + 1フリーマン
■ 開始方法:
キックオフまたはゴールキック
■ アウトオブプレー時再開方法:
得点後は、失点したチームが開始時と同じ方法で再開。
上記以外は通常のサッカーのルール。
■ 指導者の観察ポイント:
・ボール保持者が不要な1 vs 1 を仕掛けていないか
・自分たちの方が人数が多いエリアを見つけて攻撃できているか
・サポートの選手が止まらずポジション修正を続けているか
・ボールを失う直前に他の選択肢を観る動きがあったか
■ 選手への問いかけ(声掛け)例:
・「今、無理に突っ込む場面かな?」
・「やり直してチャンスを作り直せたね、ナイス判断!」
■ 認知が起きているサイン:
・プレッシャーを受ける前にボールを離す
・前進できないときに攻撃をやり直す
・無理なドリブルやロングボールの回数が減る
■ 評価基準:
「いい崩し」より「無理な失い方が減ったか」
避けるべき声掛け例
①ナビゲーションによる代行(外からのティーチング)
指導者が外から「答え」を教えてしまうことで、選手が自律的に周囲を認知し、判断をアップデートする機会を奪ってしまう声掛けです。
・「フリーだぞ!」
・「後ろに来てるぞ!」
・「ターンしろ!」
②「実行」のミスに対する追及(プロセスの否定)
周囲を観て、正しい判断を下した上での「キックミス」や「トラップミス」といった実行段階の結果だけを責めてしまう声掛けです。
・「(逆サイドを観た上でのキックミスに)何やってるんだ、今の!」
・「(相手を観て逆を突こうとしたトラップミスに)正確にやれ!」
現場でのセルフチェック
・選手の「あ、逆だった」などという「判断の修正(認知が起きているサイン)」を褒めたか
・指導者が「結果の良し悪し」ではなく「選択肢の更新」を見ているか
・練習設定(サイズ・人数など)は、選手に「観る必要」が生まれる環境になっているか
現場でそのまま使える「A4一枚のPDF指導案」
本日の練習メニューのポイントをA4サイズ1枚に凝縮した「PDF指導案」を作成しました。 スマホで確認したり、印刷してピッチに持ち込んだりと、明日のトレーニングの「右腕」としてぜひご活用ください。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回ご紹介した練習メニューにおいて評価すべきは、成功したプレーの回数ではなく状況を見て途中で判断を変えられた回数です。
それが増えるほど「周囲の認知」は整理されていきます。
ポゼッションを高めるためには、ボールを持っているとき・持っていないときの両方で正確な状況認知と判断ができる必要があります。
認知や判断と聞くととても難しそうに感じてしまいますが、今回ご紹介したような単純なルールの練習を重ねることで徐々に改善させていくことが可能です。
また、コートサイズやルールを少し変えるだけでも、選手が判断する内容や回数は大きく変わります。
練習メニューをチームに合わせて調整する視点は「練習メニューを調整して使うという考え方」の記事で整理しています。
ぜひ選手の変化を観察しながら、環境設定を調整してみてください。
なお、今回取り上げた「周囲の認知」についての詳しい考え方は【概要編】で解説しています。
【概要編】で「周囲の認知」について整理しておくと、本記事でご紹介した練習メニューの狙いや効果も、より明確に捉えられるようになります。
本メディアの「概要編(キーファクター解説)」は原則として有料(300円〜)ですが、初回記事に限り、その内容や質を確認いただくための「フルサイズ・サンプル」として永久無料公開しています。
今後の概要編も本記事と同等のクオリティで提供いたします。
有料記事のご購入に不安や抵抗がある方は、まず本記事を最後までお読みいただき、私の指導理論の基準(スタンダード)をご判断いただければ幸いです。
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